NIKE 公式オンラインストア

クロスカウンター・日英アーティスト共有展

HAPPENINGText: Yuko Miyakoshi

東京・世田谷に今年オープンしたばかりの2つのスペース、「XYZ collective」(エックスワイジー・コレクティブ)と「CAPSULE」(カプセル)で同時開催されるという合同展。この企画が持ち上がったそもそものきっかけは、イギリスのロイヤル・アカデミー・オブ・スクールの生徒だったピーター・ドナルドソン氏が、卒業生向けのコンペティションに応募するために澤柳英行氏を誘い、日英作家の交流を目的に始めたプロジェクトだった。それがみごとベスト・アワードに選ばれ、1万ポンドの賞金を獲得。ところが当初は今年の4月にスタートを予定していたプロジェクトが、東日本大震災の影響で延期になり、ドナルドソン氏らは企画を改め、よりコミュニケーションに重点を置いた共有展として再出発した。日英の国境を超えて集められたのは新進気鋭の若手アーティストたち。さっそくオープン初日の様子からお伝えしていこう。

まずは、エックスワイジー・コレクティブへ。もともと倉庫だった建物の小さな入口をくぐり抜けると、中は薄暗く、一瞬そこがイギリスかどこかにあるガレージのように思える。ただガレージと違うのは、そこにアート作品が隣り合う緊張感が満ちていること。それぞれの作品が醸す雰囲気や音が互いに作用し、独特の空間を生み出している。

DSC00683.JPG
左:チックス・オン・スピード 「Don’t」 右:朝海陽子「素敵な歌と船はゆく、横浜」 Photo: Yuko Miyakoshi

大きなスクリーンで目を惹いたのはアレックス・マーレー=レスリー氏とメリッサ・ローガン氏をコアとする女性だけのパフォーマンスグループ、チックス・オン・スピードの「Don’t」。白い砂浜の浜辺で、白い布やネオンカラーのタイツを見にまとった女性たちが思い思いにダンスをし、かわるがわるカメラに語りかけてくる。ゆるみと緊張を繰り返す独特のリズムが心地よい。チックス・オン・スピードは、音楽、映像、ダンス、ファッションなど様々なジャンルでのパフォーマンスで知られ、キャリアは長いがカッティング・エッジな姿勢を保ち続けている。ファッションの分野ではカール・ラガーフェルドやジェレミー・スコットなどの著名デザイナーとのコラボレーションを実現させたり、もともと彼女たちの名前を世に広めたバンドからCDを出したりと、その活動は幅広い。二作目の作品集「Don’t Art, Fashion, Music(ドント・アート、ファッション、ミュージック)」という名前が象徴するように、彼女たちの創作はアートでもファッションでも音楽でもなく、同時にその全てであり、ジャンルを越えてひと続きの表現をして見せる。

love30_2.jpg
右:澤柳英行「There is still love after the 3 minutes」

チックス・オン・スピードの作品の音に、ときどき重なるシャープな女性の声に思わず振り返ったのは、澤柳英行氏の「There is still love after the 3 minutes」。スクリーンに映し出された数字が女性の声と共にカウントダウンされていき、ゼロになった瞬間にメッセージが明滅。その文字「LOVE」は残像として視界に残る。メッセージは一瞬だが、印象は強い。3分間という時間は東日本大震災の時の揺れの時間とほぼ同じだという。澤柳氏は、『東日本大震災だけを意識した訳ではないが、震災後に自分が実感したように、人のつながりの大切さの様なもの考えるきっかけになれば』と語る。

Read more ...

[Help wanted] Inviting volunteer staff / pro bono for contribution and translation. Please e-mail to us.
MoMA STORE