XYZ COLLECTIVE
PLACEText: Yuko Miyakoshi
東京・世田谷地区にこの夏オープンしたばかりのアーティスト・ラン・スペース「XYZ collective」(エックスワイジー・コレクティブ)。ディレクターのCOBRA(ビデオアーティスト/MIHOKANNOメンバー)、松原壮志朗(現代美術作家/MIHOKANNOメンバー)、服部円(編集者)が中心となり、アーティスト・マネージメントオフィス「SNOW Contemporary」、レコードショップ、ブックレーベル「BOOK SHOP YAMATO」が同居する。アーティスト・ラン・スペースとはスタジオとオルタナティブ・スペースを兼ね備えた、アーティストが自主的に運営する場のこと。アーティストのアトリエにより近いギャラリーといった感じだ。
グランドオープニングパーティーの後、まず始めの展覧会を飾ったのはSNOW Contemporaryの飯沼英樹の個展「美女」。ヨーロッパでの活動を経て、今年の2月に開催されたアートフェア「TOKYO FRONTLINE」で日本デビューを果たした飯沼氏の作品は、以前見た時よりもぐっと存在感を増していた。木彫の女性たちはより強い形、より深い、優しさと涼やかさが入り交じった表情となってそこに居た。飯沼氏はファッション誌をモチーフとし、下絵を起こすことなくイメージを形にする。時に荒いほどのタッチにはスピード感があり、その作品が1本の木から、1枚の写真を見て掘り出されたものだとは驚かされる。SNOW Contemporaryの展示は、年に4回開催されていく。
メインスペースの隣には、大地岳紀がオーナーであるレコードショップが展開され、パートナーとして以前渋谷にあった、クララオーディオショップの野界氏も参加している。木の棚に所狭しと並べられたレコードのある一角は、どこかヨーロッパの家の屋根裏部屋のような、不思議な雰囲気。扱われているのは1900年代の蓄音機でし か聞けないレコードや16mmフィルム、アートブックなど。つい最近作られたばかりのはずなのに昔からそこにあるようなファンタジックな雰囲気は、野界氏が蒐集した物たちのせいか。
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