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ガウディとサグラダ・ファミリア展

HAPPENINGText: Alma Reyes

世界で訪問者の多い歴史的建造物の一つであるサグラダ・ファミリア聖堂は、何世紀もの間、建築家、芸術家、歴史家、そして訪問者を驚嘆させてきた。2005年にユネスコ世界遺産に指定されたこの聖堂は、1882年に建築家フランシスコ・デ・パウラ・ビリャールによって建設が開始され、1883年から1926年に亡くなるまで、アントニ・ガウディに引き継がれた。この “未完の聖堂” は、ガウディ没後にバトンを受け継いだ建築家たちの絶え間ない努力により、2026年にイエスの塔の完成が予定されている。現在、サグラダ・ファミリア聖堂主任建築家のジョルディ・ファウリは、172.5メートルの中央塔を建て、サグラダ・ファミリアを世界で最も高い教会にするというガウディの試みを引き継いでいる。


《サグラダ・ファミリア聖堂、全体模型》2012-23年、制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室、サグラダ・ファミリア聖堂 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família

東京国立近代美術館(MOMAT)は、9月10日まで「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を開催している。この展覧会では、ガウディの建築思想と造形原理を探求し、100点を超える図面、設計図、縮尺模型、写真、映像、家具、鉄工芸品、彫刻、装飾品、資料などを通して、サグラダ・ファミリアの発展の軌跡を辿る。

第1章「ガウディとその時代」では、ガウディの人物像と、サグラダ・ファミリアの計画に影響を与えた19世紀の近代建築、デザイン、芸術、工芸の進化などの時代背景について掘り下げる。


アントニ・ガウディ《クメーリャ革手袋店ショーケース、パリ万国博覧会のためのスケッチ》1878年、名刺の裏、レウス市博物館

アントニ・ガウディは、1852年にカタルーニャ地方のレウスで生まれた。この時代は、産業革命がヨーロッパ(バルセロナはその先駆都市)をかつてない規模で変革した時代である。世界各地で万国博覧会の開催も盛んになり、科学、技術、建築様式の最新のトレンドが紹介され、ガウディの建築の基礎が形成された。1878年にバルセロナ建築学校を卒業後、小さなプロジェクトに着手したガウディは、バルセロナの革手袋店主クメーリャから、1878年のパリ万国博覧会のショーケースの設計を依頼された。ガウディのエレガントな照明とガラスケースのデザインは、バルセロナの資産家アウゼビ・グエルに感銘を与え、彼はガウディのパトロンとして、グエル公園、グエル館、フィンカ・グエル(グエル別邸)、コローニア・グエル教会堂など、多くの建築作品に関わった。


《サグラダ・ファミリア聖堂、受難の正面:鐘塔頂華》 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família


《サグラダ・ファミリア聖堂、マルコの塔模型》2020年、制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室、サグラダ・ファミリア聖堂 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família

第2章では、独特のコンセプトや緻密な造形、芸術性を形成したガウディの創造の源泉を探る。イスラム教、ユダヤ教、キリスト教に導かれたスペインの共生の歴史は、12世紀にムデハル様式の建築を出現させた。この様式は、幾何学模様と複雑なタイルやレンガを象徴とし、スペイン全土に広く普及した。後に派生したネオ・ムデハル様式は19世紀に登場し、ガウディは、トレンカディス(破砕タイル)による装飾技法に新しい命を与え、グエル公園を始め、グエル邸、カサ・バトリョ、カサ・ミラなどで用いられた。サグラダ・ファミリアでは、聖堂の内部や外部のファサード、塔などに見られ、第3章では、受難の正面の鐘塔頂華とマルコの塔の模型が展示されている。

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