岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ TIME UNFOLDING HERE
HAPPENINGText: Alma Reyes
造形芸術は、視覚を通して表現される芸術であり、絵画、彫刻、陶芸、建築、映画、写真など、空間芸術を指す言葉で、様々な表現方法が含まれる。日本で最も知られた造形作家の一人が、岡﨑乾二郎(1955年-)である。絵画、彫刻のみならず、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域でも革新的な仕事を手がけ、さらには文化全般にわたる批評家、作家としても活躍してきた。1982年パリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。2002年、ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展(日本館ディレクター)、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開してきた。
Photo: Risaku Suzuki
東京では初となる大規模な回顧展「岡﨑乾二郎
本展覧会のタイトルは、「而今而後(これから先、ずっと先も)」という『論語』の一節から引用された。岡﨑はこの道徳律の哲学を通して、人間の経験を超越した時間の存在様式を芸術を通して解釈している。岡﨑は、COVID-19のパンデミック以降、社会の急激な変化や個人的な経験を受けて、自分の精神的な時空の枠組みが大きく変化していることに気づいた。その結果、芸術表現を通して可塑性を回復させ、自分の身体と精神意識を再び結びつけることが急務であると悟ったのだ。岡﨑にとって造形とは、世界認識を変換するための構造を抑制する力であり、本展で明らかにされるように、再生と再構築をもたらす可塑性を発揮するためのツールなのである。
岡﨑乾二郎《あかさかみつけ》1981年、高松市美術館蔵 Photo: Shu Nakagawa
2020年以前の作品に焦点を当てた最初のセクションでは、絵画、彫刻、建築など、作家の初期のキャリアを集大成するプロジェクトの傑作を目にすることができる。入口の部屋には、1981年の初個展「たてもののきもち」で発表した〈あかさかみつけ〉と〈おかちまち〉シリーズが展示されている。ポリエチレン製の立体レリーフは、チューリップを模したさまざまな形と色のパネルが平面から切り取られ、壁に貼り付けられている。平らな壁面と垂直な壁面、閉ざされた空間と壁の中に広がる外部空間など、さまざまな寸法の空間を曲線でつないでいる。これらの作品は、1982年の第12回パリ・ビエンナーレに入選し、岡﨑を将来有望な作家へと押し上げた。
岡﨑乾二郎《まだ早いが遅くなる》1986年、大原美術館蔵
1979年に発表された〈かたがみのかたち〉シリーズは、衣服の型紙から形を作り、大きな綿布にパッチワークしたもの。岡﨑は、二次元の表面に平らにしたデジタル的なひだの中にバラバラの石を並べ、新しい可変的な空間を作り出す中国の手法に着想を得、作品にこの技法を取り入れた。《まだ早いが遅くなる》(1986年)に代表されるように、布のパターンは繊細に選ばれ、さまざまな色彩の反復モチーフと組み合わされ、角張った形やランダムな形にレイアウトされている。布の切れ端を組み合わせてコンポジションを構築するというこのコンセプトは、岡﨑の絵画にも応用されており、太い筆のストロークが折りたたまれたり広げられたり、あるいは拡大されたり縮小されたりして、斬新な色合いや形のパッチがキャンバスを泳ぐように誕生している。
このプロセスは、2011年と2013年に制作された、それぞれ144点組からなる巨大なタイル板《釉彩セラミックタイル》にも見られる。岡﨑はタイルを焼き上げるまで、最終的な色を事前に想定することなく、タイル一枚一枚を自ら調整し、顔料を塗り重ねた。2011年の作品は、濃い灰色、青、緑、黄色で、縦横に流れる水を表現し、2013年の作品は、澄んだ青と白で、天上の水面にただ浮かぶ生き物を描いている。
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