「第三の手」マウリツィオ・カテランとストックホルム近代美術館コレクション

HAPPENINGText: Victor Moreno

ニューヨークを拠点に活動するイタリア生まれの現代アーティスト、マウリツィオ・カテラン(1960年生まれ)の展覧会が、ストックホルム近代美術館で開催されている。制作という行為を超え、影響を及ぼす未知の力を意味する「第三の手」をタイトルに掲げた本展は、カテランの代表作を同美術館の収蔵庫に保管されているコレクションの中から選りすぐった作品と共に組み合わせて展示するもの。キュレーションによって作品の解釈を再構築することで、社会問題を視覚的に大胆に、皮肉たっぷりに、ユーモラスに捉えるカテランの芸術的才能がより引き立てられている。


Maurizio Cattelan, La Nona Ora, 1999. Photo: My Matson/Moderna Museet © Maurizio Cattelan 2024

美術館のメイン展示エリアに続く、長く広い廊下に入ると、床が赤い絨毯に変わり、さらに進むとその上に横たわる男の彫刻作品が見えてくる。この聖なる法衣に身を包み、銀の十字架を手にしたローマ法王が隕石の直撃によって倒れた姿を表現した《ラ・ノナ・オラ(第9時)》(1999年)は、ニューヨークのグッゲンハイム美術館に設置された18金でできた黄金の便器《アメリカ》(2016年)と並んで、彼の最も有名な作品のひとつである。カテラン作品に頻繁に登場する等身大の蝋人形や剥製には、どこか妖しげな雰囲気がある。それらは深く温かく、生き生きとしているが、まぎれもなく冷たく、生気がない。『どんな力であれ、権力には賞味期限がある』とかつてカテランは語っている。ユーモラスで挑発的な作品によってカテランは、権力構造を風刺し、それに挑戦する。

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Eva Aeppli, Groupe de 48, 1969-1970. Photo: My Matson/Moderna Museet © Eva Aeppli 2024

展示室に入ると、ムンクの《叫び》を彷彿とさせる枢機卿の一群が、暗い雰囲気の中で迎えてくれる。幽霊のような面持ちで、ぽかんと口を開けたこれらの人物は、スイス人アーティスト、エヴァ・エプリの作品《Groupe de 48》(1969-1970年)の一部である。それを見下ろすように、カテランを象徴する作品のひとつ、ハトの剥製が部屋中に点在し、風景の一部となっている。そして、部屋はバチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂のレプリカへと続く。この天井と壁にミケランジェロの作品を模写して描かれた空間は一度に6人しか入ることができない小さなものだ。『模写は愛の行為である』とカテランは説明するが、権力の殿堂が縮小し、視点が移動するとき、何かが変容する。


Maurizio Cattelan, Untitled, 2018. Photo: My Matson/Moderna Museet © Maurizio Cattelan 2024

壁の反対側には、スウェーデンの作品を集めた部屋があり、特にPUSSに焦点が当てられている。PUSSはスウェーデンのアンダーグラウンド雑誌で、資本主義とアメリカ帝国主義に疑問を投げかけながらも、左派を揶揄することも恐れない左派的な出版物だ。1960年代後半から1970年代にかけて活躍したPUSSは、社会政治を風刺し、政治家やオピニオンリーダーを批判的に検証した。独立系出版物の目利きであるカテランは、ファッション写真家のピエールパオロ・フェラーリと共同で、アートディレクターにミコール・タルソを迎えて2010年に写真雑誌「TOILETPAPER」を創刊している。この部屋に展示されている作品は、変革への願望や権力構造への批判を反映しており、カテラン自身の実践と深く共鳴するテーマである。

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