ドクメンタ 12
HAPPENINGText: Yoshito Maeoka
導線の次に位置する会場はドクメンタハレ。ここにはオフィス機能の他、トークセッションの会場も併設されている。玄関ホールには世界各国の美術雑誌が陳列され、階下のホールには少数ながら幅広いセレクションの作品が並ぶ。
Documenta Halle Exhibition View
たとえば、コシマ・フォン・ボニンのかわいさと薄気味悪さが同居した一連のオブジェ、ホアン・ダヴィラの悪趣味な絵画、19世紀初頭のペルシア絨毯などである。
Ingo Manglano-Ovalle, The Radio, 2007
とりわけ印象的だったのは光による目の錯視を利用した、イニゴ・マングラノ=オヴァッレの二つのインスタレーション。赤色に変容された風景の見える部屋から暗がりに踏み込むと、何やら巨大な物体がある事に気づく。暗がりに目が慣れてくるとそこに一台の巨大なトレーラーが所狭しと部屋を占拠している。
Ingo Manglano-Ovalle, The Radio, 2007
かつてカッセルが軍事都市だった事をメタファーとして、アメリカ軍がイラクに持ち込んだトレーラーのレプリカをここに展示しているらしい。暗がりに踏み込んだ際、背筋に緊張を覚えた理由がそこにあったような気がする。
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