ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着

HAPPENINGText: Alma Reyes

アーティゾン美術館は2020年の開館以来、石橋財団コレクションと現代アーティストの共演により美術の新たな可能性を探ることを目的とした「ジャム・セッション」を毎年開催している。本年度は「ジャム・セッション 石橋財団コレクション × 山城知佳子 × 志賀理江子 漂着」が2025年10月11日に開幕し、1月12日まで開催されている。

ビデオアーティストの山城知佳子と写真家の志賀理江子は、避けがたい社会構造の変化に応答し、戦争や自然災害、人間の移動、そして再生といった、土地に刻まれた記憶を呼び覚ます独自の映像・写真インスタレーションを提示し、「中心と周縁」あるいは「場所と記憶」というテーマを見つめ直す。展覧会タイトルの「漂着(In the midst of)」とは、意識の外へと追いやられたものたちが漂着し、混ざり合う場所を指す。多様な要素との遭遇から、新たな関係性や概念が生まれ、状況に対する内面的・外的な反応が偶然と復興という二重の意味を伴って交差する。ふたりのアーティストのインスタレーションは、時間、場所、身体、そして回想を体現する「漂着」の場として機能している。来場者は、歴史が織りなす現実の複雑さと、それが現代に与える影響について深く想いを巡らせることになるだろう。


山城知佳子《Recalling(s)》2025年 © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist

山城知佳子の作品《Recalling(s)》(2025年)では、沖縄での戦争体験や1945年の米軍による東京大空襲にまつわる逸話を語る複数の映像が流れる。物語は、彼女の父がパラオで過ごした幼少期の記憶から始まる。年老いた父が島の荒野を彷徨う断片的な姿を通じ、父が自身の記憶を精神的に再訪するプロセスを描き出す。あるシーンでは、沖縄の鮮やかな赤い鳳凰木の花が溢れんばかりに置かれた机で、執筆する父の姿がクローズアップされ、その映画的なインパクトは観る者を強く惹きつける。


山城知佳子《Recalling(s)》2025年 © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist

展示室は軍の兵舎を模したカーテンが吊るされ、独特の雰囲気が醸し出されている。ホールを覆う暗闇が、歴史の過酷な苦しみの物語が響き渡るなか、厳粛な空気を漂わせる。来場者は、人々の目に焼き付いた戦争の情景を蘇らせるインタビューや歌、祈りに耳を傾けることができる。これらは、占領下で基地クラブに立ったシンガーの齋藤悌子、ドラマーの金城吉雄、米軍統治下で祈りを通して抵抗した牧師の平良修、音楽家の喜納昌吉、そして東京大空襲を生き延びた亀谷敏子らによって演じられている。

沖縄出身の山城は、沖縄の歴史、政治、文化を視覚的に探求し続けてきた。近年はそのプロジェクトを東アジア全域へと広げ、アイデンティティや生と死の危うい境界といった問題に取り組んでいる。これまでにロンドンのホワイト・レインボー(2018年)やニューヨーク近代美術館(2025年)などで展示を行っており、オーバーハウゼン国際短編映画祭ゾンタ賞(2018年)など、数多くの賞を受賞している。

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