デザイナート トーキョー 2025

HAPPENINGText: Sébastien Raineri

2017年の創設以来、「INTO THE EMOTIONS 〜感動の入口〜」という理念から生まれた DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー)は、世界で最も革新的で複合的なイベントのひとつとしての地位を確立してきた。この理念の根底には、創造性は美術館やギャラリーに限定されるべきではなく、私たちの日常生活のあらゆる側面に浸透するべきだという信念がある。毎年秋、東京は広大で脈打つギャラリーへと姿を変えるのだが、本年のデザイナート トーキョーは、これまでで最も野心的な開催となった。

2025年10月31日から11月9日までの10日間にわたり開催されたこのフェスティバルは、91の会場と130の展示を横断し、都市のエネルギー、そしてアートとデザインというグローバルな言語を織り交ぜる。日本最大かつ最も影響力のあるクリエイティブフェスティバルのひとつとして、デザイナート トーキョーは、分野や地理的な境界を越えて、デザイン、現代アート、建築、インテリアデザイン、ファッションの分野の先駆者たちを結びつける架け橋となっている。今年のテーマ「Brave 〜本能美の追求〜」には、参加者と来場者の双方に、境界や常識にとらわれない人間本来の根源的な美の感覚や直感、感情から生まれる創造性を受け入れてほしいというメッセージが込められている。


DESIGNART GALLERY ENTRANCE ©︎ Nacása & Partners

東京の活気ある街並みを背景に、来場者は7つのエリアを巡ることができ、それぞれの場は独自の審美的なリズムと文化的なカラーを感じさせる。前衛的なインスタレーションから時代を超越した職人技まで、本フェスティバルは、芸術的な出会いの生きた地図となり、また、来場者は作品を鑑賞するだけでなく、クリエイターから直接購入することも可能になり、展示の壁を越えた繋がりを築くことができる。その核にあるのが、現代文化の中心地である渋谷のMEDIA DEPARTMENT TOKYOで開催される大規模な集合展「DESIGNART GALLERY」だ。そこでは、日本、フランス、オランダ、スウェーデンなど各国から30組を超えるクリエイターが集結し、国際色豊かな創造性の多面的なパノラマを披露する。

包括的なコンセプトと、独自のキュレーション視点に導かれ、本フェスティバルは、人々の感情を揺さぶり、繋げ、インスピレーションを与えるアートの力を讃える。展示される一つ一つのインスタレーション、オブジェ、そしてパフォーマンスは、めまぐるしく変化する世界で、真の美を追求する勇気を観客に思い出させようとしている。これこそが、クリエイターと都市そのものの両方を特徴づける、芸術的な勇気ある行為である。デザイナート トーキョーは、東京のクリエイティブな風景を巡る旅であり、本能を再発見するための招待状であり、人間の想像力に対する大胆な肯定となる。


DAFT about DRAFT ©︎ Takuya Yamauchi

デザイナート トーキョーが他の世界的なアート&デザインフェスティバルと一線を画しているのは、都市そのものとの親密な関係だ。一つの会場内に存在するのではなく、複数の地区に広がることで、来場者は、東京を生きた、呼吸するギャラリーとして体験できる。街を歩くと、ホテルのロビー、ブティック、歴史的建造物、屋外広場といった予期せぬ場所でアート作品に出会い、創造性と都市生活との新たな対話が繰り広げられる。この分散型のスタイルは、探索そのものを芸術的な旅へと変貌させる。参加者は、日常の東京という織物の中に編み込まれた美を発見するよう促されるのだ。

その核心にあるのは、人、場所、そしてアイデアが協働する力を称賛することだ。フェスティバルが規模と影響力を拡大し続ける中でも、設立当初からの信念は変わらない。それは、創造という行為には、私たちの生き方や考え方、そして周囲の世界との関わり方そのものを変える力があるという信念である。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
スティーヴン・チータム
MoMA STORE