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ドクメンタ 12

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

6月16日、ドイツ、カッセルで国際的な12回目となる展覧会、ドクメンタ12が開催された。今回は総合ディレクターにロゲール=マルティン・ビュルゲルを迎え、彼の妻であるルト・ノアックとともにこの展覧会は立ち上げられた。

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Ai Weiwei, Template, 2007

今回は「芸術と観客に向けた3つの問い」として3つのライトモチーフを掲げ、14世紀頃の作品から今日までおおよそ500の作品、100人以上の作家が選出され展示されるという、今までにとは又違った試みだったといえる。

ライトモチーフは次の通り:
Ist die Moderne unsere Antike?(近代とは過去の遺物か?)
Was ist das bloße Leben?(単なる人生とは何か?)
Was tun?(何をするか?)

ここで注目しておきたいのが選出された作家、作品について。今回はまず、“美術史” を牽引したと言われる有名な作家による出品がほとんどない。その一方で、2000年以前の作品は出品作品の半数近くにのぼる。また東欧、中東、アフリカ、そしてアジア、とりわけ中国からの現代美術作家をかなりの数招待している等、往年の「西欧=アメリカ中心型」と言われる展覧会と一線を画しているし、むしろ今までの歴史を再解釈する試みのように企てられている。

今回の展示で個人的に一番目についたのは、アイ・ウェイウェイだった。彼は特設された展示会場の中心部分に位置する中庭に巨大なオブジェを展示している (ちなみに6月20日前後の大雨で崩れ落ちたと報じられており、作品の復帰の目処等は現時点では報道されていない)。

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Ai Weiwei, Fairytale – 1001 Chairs, 2007

そして、会場の至る所にみられる椅子は、中国では良く見かける椅子だと言う。彼はこれら1001個の椅子とともに中国より公募された1001人の一般の人をドクメンタ12に招待する、というプロジェクトを行っていた。招待された人々は、外国語をほとんど理解しない、様々な社会的階層の人が選ばれたという。その様な人々がドイツの小都市に赴き、繰り広げられるであろうドラマにこのプロジェクトの面白さがある。そう考えると次の写真のような悪戯もこのプロジェクトの巻き起こした結果のひとつ、もしくはアイ・ウェイウェイの作意かもしれない。

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この写真はヴィルセルムヘーフェの路面電車の駅で撮影したもので、中国語に精通している友人に聞いた所、次の様に書かれていたそうだ。
左下:偽造証明書作ります
右上:家庭教師やります(美人で淑女)
また電話番号は中国国内でしか通じないものであろう、と言っていた。

ちなみにアイ・ウェイウェイ本人のブログをみると、招待されたとおぼしき人々の姿を写真で見る事ができる。

以上を踏まえた上でその他、各会場にて目についた作品を幾つか見ていきたいと思う。

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