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SPRING(スプリング)わきあがる鼓動

HAPPENINGText: Alma Reyes

箱根に春が訪れた。この花咲く季節を楽しむには、ポーラ美術館で一日を過ごすのが最適だ。ポーラ美術館で企画展「SPRING(スプリング)わきあがる鼓動」が、2026年5月31日まで開催されている。数世紀にわたる火山活動によって形成された箱根に位置する美術館ならではの本展は、箱根が本来持つ美しさと芸術との共生を体感できる試みだ。

名和晃平大巻伸嗣小川待子イケムラレイコ杉本博司といった日本の現代作家による絵画、彫刻、写真、工芸、インスタレーションなど約120点に及ぶ幅広い作品群が、再生の息吹や記憶、そして自然の鼓動と響き合っている。加えて、クロード・モネ、ポール・ゴーガン、アンリ・ルソー、フィンセント・ファン・ゴッホら印象派・ポスト印象派の巨匠や、アンゼルム・キーファーツェ・スーメイパット・ステアといった近現代の作家たちの作品も展示されている。


大巻伸嗣《Liminal Air Space-Time》 2015年 © Shinji Ohmaki Studio

最初の展示室で紹介される大巻伸嗣の《Liminal Air Space-Time》(2025年)は、一枚の布が空中で上昇と下降を繰り返しながらそのかたちを変えていく作品だ。移ろいやすい大気がその下の地面と相互作用し、鑑賞者をその巨大なエネルギーへと引き込んでいくことだろう。まるで約3,000年前に形成された箱根の火山地形を想起させる。


左:歌川広重《五十三次名所図会 十一 はこね山中夜行の図》1855年(安政2)、箱根町立郷土資料館蔵[展示期間:2026年3月6日‒5月31日]/ 右:三代歌川豊国《東海道五十三次の内 箱根 初花》1852年(嘉永5)、箱根町立郷土資料館蔵[展示期間:2025年12月13日‒2026年3月5日]

歌川広重や三代歌川豊国ら浮世絵師による数多くの木版画や、渡辺文三郎、チャールズ・ワーグマン、アルフレッド・イーストらによる絵画は、この地域の険しい山々に、芦ノ湖や富士山、そして江戸と京都を結ぶ東海道の魅力的な景観を写し出している。歌川広重の《五十三次名所図会 十一 はこね山中夜行の図》(1855年)は、箱根越えの厳しさを鮮明に描き出している。19世紀後半、外国人がこの魅力的なリゾート地に注目し始めて以来、箱根は芸術家や作家にとって好まれる画題となり、しばしば富士山の見事な風景と共に描かれてきた。


展示風景:杉本博司《富士図屏風、大観山》2024年 © Hiroshi Sugimoto, Gallery Koyanagi

展示されている数多くの印象的な富士山のシルエットの中でも、杉本博司の《富士図屏風、大観山》(2024年)は、黄昏時の地平線に浮かぶ象徴的な山と芦ノ湖の壮大なパノラマを捉えている。杉本は、18万年前の大噴火前後の山のイメージを融合させることを構想した。元日の日の入り時に大観山の展望台から撮影されたこの写真は、屏風仕立てにされることで昼から夜への移ろいを優雅に包み込み、継承されてきた日本美術の気品をいっそう際立たせている。

また、当時の流行の装いで温泉地でくつろぐ美しい女性たちを描いた作品もある。これらの描写は広告媒体を通じて広まり、人々の旅情をかき立てた。さらに箱根は、龍の伝説から超人的な力をもつ生き物に至るまで、神話や伝承の舞台としても好まれてきた。これらの魅力的な物語は、浮世絵、歌舞伎、浄瑠璃の題材として人気を博し、結果として箱根への参詣を促すこととなった。

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