「アフリカ・スクリーム」展
HAPPENINGText: Christina Merl
『現代の映像技術が、すばらしくそして伝説のように飾り立てた、悪、嫌悪心、醜さ、恐れという軌跡を辿り、不可思議な経済、ネオ・カニバリズム、妖術、ゾンビというイメージが拡大されたモダニズムに存在する影の部分に暗い眼差しを投げかけ、「アフリカ・スクリーム」は、古代から現代までアフリカに伝わる神話をジャックする。』と、意欲的な展覧会のプレスリリースにはこう書かれていた。
Tobias Wendl
いったいどういう意味だろう? アフリカと聞くと、植民地解放後の戦争、貧困、頽廃、疾病というイメージがまず浮かんでしまう。危機的なアフリカ大陸、開発計画者の悪夢…。メディアが映し出すイメージはこんな感じだ。しかし、どんな事にも言えることだが、物事にはコインと同じように表と裏がある。
この広大な土地には、創造性、柔軟性、音楽、カルチャー、アートなど、古代から現代にずっと存在してきた芸術という側面が存在する。例えば、パリで行われた「地球の魔術師」(1989年)や、ヨハネスブルクとダカールでのビエンナーレ、最も最近のものでは、ドクメンタ 11(2002年)のような展覧会により、私達はアフリカで動き出しているアートシーンを知ることができるようになった。
Pascale Marthine Tayou
「アフリカ・スクリーム」(アフリカの悲鳴)と題された本展は、この両側面のギャップを狭めることを目的とした初めての試みだ。コンセプトは、アフリカのアートに映し出されている “恐怖” という文化的な歴史の輪郭を提示するというもの。具体的には、“悪” が現代的な形でアートとしての表現されている、「儀式」と「マスク」に焦点を当てている。実際、“悪” がこの世に存在しなければ、おそらくそれはあえて何者かによって作り上げられただろう。なぜなら、“悪” がなければ、どんな形であれ、何が良いのかという比較する対象もないので、道徳も成り立たないからだ。
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