でんすけ28号
PEOPLEText: Taketo Yanagihara
様々な分野でスターを輩出している多摩美術大学メディア芸術コースを今年卒業し、8月には個展を開催、DOTMOV 2016、トロント・アートハウス・フィルム・フェスティバルなどのアワード、また世界各地で作品がスクリーニングされるなど、ぶっちぎりのスタートダッシュで頭角を現したでんすけ28号。スタイリッシュな色使いと精密な作画の中で、混乱と狂気に満ちたモーションが見る者の脳内をかき回す。
クライアントワークでは話題の新人アーティスト「パズラムシステム」のMVを、同じく若手映像作家で注目されるノガミカツキと持田寛太らと共作するなど、今最も勢いのある若手映像作家にインタビューを行った。
© でんすけ28号
まずはじめに、自己紹介をお願いします。
1993年東京生まれ。今年の3月に多摩美術大学の情報デザイン学科メディア芸術コースを卒業して、現在はフリーランスの映像作家として活動しています。
「でんすけ28号」というお名前の由来も教えて頂けますか?
名前自体に意味はまったく無いのですが、小学生の頃にやっていたオンラインゲーム内でのハンドルネームが何故だか「でんすけ28号」という名前で、それがずっと印象に残っていて活動名として今でも使っています。本名が同姓同名の人が多い名前なので、知り合った人達の記憶や印象に残りづらいと思って、本名とは違う名前で活動していくことにしました。(本名が嫌いなわけではないですし、気に入っています。)
“Controller of Controller”, 2016 © でんすけ28号
映像作家を目指したきっかけを教えて下さい。
特別に目指していたつもりはないのですが、今考えてみると先輩の映像作家の方々の活躍ぶりを見てこの道に吸い寄せられた気がします。あと、多摩美にあるテクノ研究会というサークルでVJをやり始めて、音や映像と接する面白さを見つけられたのも大きいと思います。
影響を受けたものは何でしょうか?理由もあわせて教えて下さい。
アイルランドのアニメーション作家のデビッド・オライリーにかなり影響を受けていると思います。彼自身のCGアニメーションに対する論考が書かれた「アニメーション基礎美学」という文献があって、そこには『CGアニメーションは他の形式のアニメーションと比べて自由度が高すぎるが故に制約による恩恵が無く、注意してツールを使わなくては自分の美学を十分に突き通せないモノになってしまう』といった内容が書かれていて、これを最初に読んだときにそれまで自分にはない考え方だったのに納得せざるを得なくて、それ以来ずっとこの文献のことを頭の片隅に置いて作品を作っています。
“Controller of Controller”, 2016 © でんすけ28号
使用機材、使用ソフトなどの制作環境について可能な範囲で構いませんので教えて下さい。
基本的にソフトはシネマ4Dとアフターエフェクツを使用しています。
どのような制作手順でしょうか?
一人で作品を作るときは実際に手を動かすところから制作に取り掛かることが多いです。軽くイメージを膨らませながらパソコンの画面上で形を作っていき、ある程度ビジュアルが定まってきたらそこから考えやアイディアを練り詰めて、必要であれば文字に起こしたり図式化したりして納得できる道筋を固めていきます。最後に作業における禁止事項などのルールを決めてから一気に完成までもっていきます。
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