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マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート

HAPPENINGText: Alma Reyes

現代の私たちは閉ざされたネットワークの世界に生きている。SNS、オンラインショッピング、インターネットバンキング、VR(仮想現実)、そしてAI。特に生成AIは科学、医療、製造業、教育など、様々な分野の技術革新においてますます存在感を増している。この自動化の波に対して多様な職種の人々は多面的な反応を示している。それは希望に満ちたものでありながら、同時に不安をもたらすものでもある。そしてさらに、芸術への影響も計り知れないものとなっている。

六本木の森美術館で「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」が、6月8日まで開催されている。この大規模な展覧会では、現代アート、デザイン、ゲーム、AI研究に携わる世界的なアーティスト12組と著名なクリエイターたちによる、映像、サウンド、ビジュアル・インスタレーションからなる二次元作品と三次元作品が紹介されている。観客は、イメージメイキングにおける創造性の高さを探求することができ、超写実的な風景や景観、アーティストが描く現在と未来の地球生活、社会倫理、環境問題、人間とテクノロジーの強力な関係などを目にすることができる。ジェンダーや文化的アイデンティティを意識させるアバターの登場や、来場者がAIキャラクターと実際のゲームやディベートに参加できる対話型の作品も展示されている。


ビープル《ヒューマン・ワン》2021年-、4面スクリーン(16K)、磨かれたアルミメタル、マホガニー材の枠、メディアサーバー、NFTの変化と同期した 映像(永続) 展示風景:「ビープル:ヒューマン・ワン」M+(香港)、2022-2023年 Photo: Lok Cheng

オープニング・インスタレーションでは、メタバースで誕生した最初の人間のキネティック・ビデオ彫刻が演出される。アメリカのデジタル・アーティスト、グラフィック・デザイナー、アニメーターのビープル(マイク・ウィンケルマン)による《ヒューマン・ワン》(2021年)では、宇宙服を着た旅行者が、色とりどりのアニメーションが描かれた回転する箱の中を延々と旅しているように見える。アーティストが遠隔操作で定期的にバーチャルな箱の中身を変えるため、この作品は、仮想空間と私たちの生身の存在が絶えず変化し続けていることを物語っているのだ。ビープルは往々にして、ポップカルチャー、SF(サイエンスフィクション)、政治的な例から風刺的な見立を発信している。


佐藤瞭太郎《ダミー・ライフ #38》2025年、インクジェットプリント

続く2つの部屋では、北海道生まれの佐藤瞭太郎が、ゲームエンジンやインターネット上のデータ(3Dモデル、兵士、少女、動物など)を使って、《ダミー・ライフ #38》(2025年)のような魅力的な版画作品や、《アウトレット》(2025年)のような映像作品を発表している。どこか不条理で不穏なストーリーが、登場人物たちが現実の物理法則とはまったく異なる像に変容していく様子を描いている。アウトレットの舞台は、仮想空間で資産家たちが暮らす巨大ショッピングモール。境界線を越えると混沌化し、シュールリアリズムそのものが投影される。映像を見ながら、私たちは複雑な現代生活における人間としての存在の本質を問い始めることになるのだ。


キム・アヨン《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》2022年、ビデオ

韓国からは、キム・アヨンの《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》(2022年)という、ソウルのデリバリー・ダンサーズというプラットフォームで働く女性配達員を描いた「推理小説」が展示されている。彼女はマスター・アルゴリズムであるダンスマスターから指令を受け、個人的な接触なしに最短距離・最短時間で商品を届けている。街は未来的な迷路のような道路網で表現され、時間と空間が歪んでいる。同時に、別のバイク乗りとのラブストーリーが展開する。COVID-19パンデミック時の制限された生活を反映したこの作品は、フリーランスの仕事、過剰な警戒心、神秘的な世界での肉体の酷使によって支配される抑圧された労働市場に埋没した社会を象徴している。デジタル効果は非常に見事だ。

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