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YET, IT MOVES! それでも地球は回っている!

HAPPENINGText: Victor Moreno

コンテンポラリー・コペンハーゲン(CC)では、5月12日から12月30日、つまり2023年末まで「Yet, It Moves!(それでも地球は回っている!)」が開催されている。このグループ展は、国際的なアーティストと世界有数の研究機関との2年間の共同作業の成果であり、宇宙のあらゆるものの大前提である “動き” をテーマにしているが、人体における個々の細胞から、全宇宙銀河における万物に至るまで、ミクロな視点とマクロな視点のどちらをも包含している。アートとサイエンスの邂逅により新しい何かが生まれる。このような素晴らしい研究機関とアーティストが協働するならなおさらだ。

この展覧会は、“動き” が私たちの現実の一部であり、かつその帰結である、ということについて、より大きな全体像を示すことを目的としている。これについて、アーティストたちは、スキャン、幾何学的形状および線、爆発、量子反応などの態様で各々の解釈を表現している。ブラックホール、星形成、重力波のような複雑な現象は、これらの視覚的な動きの芸術作品を構成するために用いられ、宇宙物理学、量子力学、神経科学、認知科学、人類学、パフォーマンススタディーズが、動きや運動パターンのふるまいを定義するためのガイドラインとして使用されている。


池田亮司 《data-verse 1/2/3》(2019–2020年)オーデマ・ピゲ・コンテンポラリー コミッション作品、コンテンポラリー・コペンハーゲン(CC)「Yet, It Moves!」(2023年)インスタレーション展示風景

極めて複雑そうに聞こえるかもしれないが、作品自体は、実に明快で、視覚的に印象的で、情報やデータが豊富で、非常にグラフィッカルでダイナミックである。さらに、この展覧会では、ビジュアル・アートとサウンドの融合を探求する先駆的なアーティストたちの作品も展示されている。日本の池田亮司、アフロ・フューチャリスティックなクィア・ブラック・デュオのブラック・クォンタム・フューチャリズム、アルゼンチンの振付家兼ダンサーのセシリア・ベンゴレア、サウンドと没入型インスタレーションをも手がけるデンマーク人アーティストのヤコブ・クスク・ステンセンであり、さらに、コペンハーゲンの都市空間やCCで作品を展示してきたアーティストが数名加わっている。展覧会のタイトルは、ガリレオ・ガリレイ(1564-1642年)へのオマージュである。ガリレオは科学者であり、哲学者でもあり、『人の実感がどうであれ、地球は常に太陽の周りを動き続けている』という考えを表現する言葉を生み出した。


池田亮司 《data-verse 1/2/3》(2019–2020年)オーデマ・ピゲ・コンテンポラリー コミッション作品、コンテンポラリー・コペンハーゲン(CC)「Yet, It Moves!」(2023年)インスタレーション展示風景

洞窟のような空間に設置された3つの巨大スクリーンに、動きと音が同期する驚異的な作品、池田亮司の《data-verse 1/2/3》(2019-2020年)。池田はデータをソースとして、粒子の風景やコンピュータのようなスキャン結果を作り出す。実際、彼はCERN、NASA、ヒトゲノム・プロジェクトなどの科学機関からサンプリングしたオープンソースのデータを利用している。私たちが生きている世界と宇宙について私たちが知っていることのすべてがデータに基づいていると言える。私たちはデータを収集し、それを情報に変換して、私たちを取り巻く世界、私たちの頭上、そして私たちの内部を理解するために使用している。この驚くべきビジュアル・インスタレーションは、幾何学模様、デジタル・マッピング、グリッドなど、主にモノクロームのビジュアル・アセットを使用し、サウンド・デザインとの見事な同期によってすべてが強化された、穏やかでありながら渦巻くような雰囲気の中に、見る者を没入させる。サウンドは、「ブレードランナー」やディストピアSF映画のワンシーンから引用されたものではないかと想像する。特に、コンピューティング・データとインタラクトし、検索やスキャニングをする瞬間の音は、ビジュアル・データと同期するようにデザインされた鮮明な鐘のような音に対して、低いピッチの振動が対照的だ。これらのビジュアルは「ウォー・ゲーム」から着想を得て21世紀風にアレンジしたものかもしれない。池田は、ビジュアルモーションと作曲を手がける、日本で最も影響力のある現代アーティストの一人である。彼は国際的な展覧会に出展し、2014年にはアルス・エレクトロニカCollide@CERN賞などの権威ある賞を受賞している。

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