オノ・ヨーコ展「FLY」
HAPPENINGText: Wee Ling Soh
KEセンターは見つけづらいが、一度見つけるとその外壁を飾るオノ・ヨーコの巨大なポスターを見過ごすことはないだろう。75歳の女性が見せる胸の谷間は心地いいと言っていいものかどうなのか、それが一番はじめに僕の頭をよぎったことだ。
ジョン・レノンとの恋愛関係によって、彼女自身のコンセプチュアル・アーティストとしての作品の影は薄くなり、おまけにビートルズファンによって悪役のレッテルを貼られたこの女性について、ジョン・レノン亡き後の1980年代に生まれた僕は、正直よく知らない。
彼女の中国での初個展ということでメディアが注目し、沢山の人がこの展示に集まった。僕より先に見に来た友人からイマイチだったと聞いていたこともあり、僕はあまり期待もせず展示を見に来た。
彼女の作品は、目がくらむようなユートピア的な愛と平和の靄によって包まれた、インタラクティブなものが多い。
観客は、壁に落書きしたり、「Wish Tree for Shanghai」に願い事の短冊をつるしたり、まるで壊れた陶器を直すかのように世界を修復していくのだ。そうして、アーティストと観客の間の国境線をぼやけさしていく。
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