高嶺 格「とおくてよくみえない」展
HAPPENINGText: Meiko Maruyama
そしてまた大きな展示室の中へ。ここには、3点のビデオインスタレーション、写真、書道、彫刻作品など6作品が展示されている。
最初のビデオインスタレーションのタイトルは《Do what you want if you want as you want》。この作品ではアーティストが「友人」と呼ぶ女性が、パレスチナにおけるイスラエル軍の行為を間近に目撃した体験談を語る様子が、分断された3つの画面に映し出されている。女性の台詞は全て和訳され、電光掲示板に示されているが、ここで伝えられようとしているのは、女性が声高に訴えるパレスチナ問題ではなく、「友人」とは何であるのか、という問いなのかもしれない。
高嶺 格《God bless America》2002年、横浜美術館での展示風景 撮影:今井智己
2つ目の作品、《God bless America》では二人の男女が約3週間、赤い部屋で巨大なクレイアニメを製作する様子が映し出されている。最初は男の顔の様な粘土のかたまりも時間が経過するに連れ変化して行き、粘土とはまるで関係無いかのように部屋の中ではカップルの生活が進んで行く。そして「ゴッドブレスアメリカ」の歌が流れ続ける。
高嶺 格《ベイビー・インサドン》2004年、横浜美術館での展示風景
次の作品《ベイビー・インサドン》は文字、写真、そしてビデオを交えたアーティストと彼の在日韓国人である妻についての作品だ。二人の恋愛関係、そしてアーティストの心情が作品を通して語られる。
その向かいにある3幅の掛け軸《Korean Studies》は、アーティストが韓国に赴いて制作した書道作品で、韓国の書家による赤い墨の添削がそのまま残されている。
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