高嶺 格「とおくてよくみえない」展
HAPPENINGText: Meiko Maruyama
「とおくてよくみえない」は現代美術家、高嶺 格(たかみね ただす)による横浜美術館での展覧会タイトル。このタイトルについて、『「遠い」という言葉の中には物理的な距離だけでなく、心理的な距離感についても感じさせます。また、「見える」という言葉も視覚的な意味だけではなく「分かる」「理解する」という意味を併せ持っていて、このタイトルは字義どおりの意味を超えて、他者とのコミュニケーションについても考えさせるフレーズだと思います。』と、担当学芸員の木村絵理子氏が語る様に、数々の作品を通して私達に様々な問いを投げかける。
《野性の法則》2011年、横浜美術館での展示風景 撮影:今井智己
展覧会はインスタレーション作品《野性の法則》から始まる。この大きなインスタレーションから発せられるお化けの様な音が館内に響き渡る。
高嶺 格《木村さん》2011年、横浜美術館での展示風景
そして、二つ目の作品《木村さん》は、美術館館長、逢坂恵理子氏によるあいさつと共に展示される。あいさつの文面には高嶺氏のビデオ作品《木村さん》が2004年の展覧会では展示されなかった事について述べられる。《木村さん》は高嶺氏が以前、介護をしていた、パフォーマーであり森永砒素ミルク中毒事件(1955年)からの一級身体障害者である男性についての作品。作品は性的な表現を含む事から法的な配慮により展示されなかったが、この展覧会はそうした美術館と作家との間の過去の経緯を示す新しい写真作品《木村さん》からはじまる。
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