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東野祥子

「ALL LOVES YOU!」

2004年に「トヨタコレオグラフィーアワード 2004」で次代を担う振付家賞を受賞するなど、世界的にもその即興センスのあるダンスパフォーマンスに注目があつまるコンテンポラリーダンスの振付家/ダンサー 東野祥子。「BABY-Q」というダンスカンパニーを立ち上げ活躍すると共に、「煙巻ヨーコ」名義でソロ活動も行っている。

山口情報芸術センター[YCAM]では、今回第4回目となる、ダンス公演シリーズ「YCAM Performance Lounge(パフォーマンス・ラウンジ)」に煙巻ヨーコを迎え、ミュージシャン、DJ、VJ、さらに空間演出をおこなうアーティストとコラボレーションし、ダンス、音楽、映像、光などあらゆる表現がひとつになる、一夜限りのダンスセッション「ALL LOVES YOU!」を繰広げる。

東野祥子東野祥子
Photo: Banri


まずはじめに自己紹介をお願いします。

東野祥子(ひがしのようこ)。ダンスカンパニー「BABY-Q」を主宰し、振付家・ダンサーとしても活動しています。ワークショップも行い、都内、地方に出向いてダンサーの育成を行っています。またソロ活動として、数多くのミュージシャンとのセッションを行っていて、「煙巻ヨーコ」名義でクラブやライヴハウス、ギャラリーなどに出没。フランス、チェコ、ニューヨークなどの海外のアーティストともコラボレーション作品を発表しています。オリジナルブランド「HEXTION」のデザイナーでもあります。


ダンスを始めることになったきっかけと、ダンサー/振付家として活動していくことになった経緯を教えてください。

奈良の桜井という田舎に生まれ、引っ込み思案で取り柄のないおとなしい子でした。体だけは柔らかくて、テレビを観ながら楽しそうに踊っているのを見た母親が勧め、お稽古事の一つとして10歳からモダンバレエを習い始めました。お稽古事の意識としては高校生くらいまでですね。コンクールに出ることになって、自分で作品をつくってみたときに自分の表現というものが始まったように思います。それからフリーで、ニューヨークなどでワークショップを受けながら、大阪にて活動を始めました。そして、1995年に2人のDJと「ERROR SYSTEM」というユニットを組んでクラブや小劇場、野外などでパフォーマンスを始めました。これをきっかけに、もっと大きな枠で作品をつくってみたいという意欲からメンバーを集め、2000年に現在の「BABY-Q」の母体をつくりました。


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BABY-Q Dance Performance「←Z←・Z 滑稽な独身者機械」2003 / Photo: 清水俊洋


ダンスカンパニーを始めることになったきっかけを教えて下さい。また、どのようなメンバー構成で、どういった活動されているのでしょう?

「BABY-Q」の結成前は、維新派(大阪の前衛劇団)から派生した「プリティーヘイトマシーン」という野外劇団に女優兼ダンサーとして出演したりしていました。そこで知り合ったミュージシャンや、DESTROYED ROBOT作家ほか、数名で「BABY-Q」立ち上げたんです。今では10名以上のダンサー、音楽コンポーザー、映像作家や衣装デザイナー、ウェブやビジュアル全般を担当するデザイナーなどが在籍しています。メンバーそれぞれがダンス、美術、音楽、映像、ファッション、デザイン、写真、といった異なるメディアを追求し、その過程のなかで感じている切実な思いや実体験が、私たちの舞台作品の骨格を成しています。舞台において私たちのエネルギーを生身で感じてもらい、よりリアルな人間の繋がりを深めていくことにより、身体とそれにまつわる表現の新たな時代を目指していきたいと考えています。「BABY-Q」は国内においてはオルタナティブ/サブカルチャーシーンから舞台芸術、近年では海外にもその活動の幅を広げ、草の根的に多様なジャンルに共鳴し、活動の幅を広げています。

ダンスシーンでも、国内で開催されるダンスのコンペティション「トヨタ・コレオグラフィーアワード」や「横浜ソロデュオ<Competition>+」などでグランプリを受賞しました。突拍子もない創造力とか、大胆で大掛かりな演出が注目されているようです。ほかにも、超絶技巧で繰り広げるダンス、キャラクターの突出した存在、アナログ的手法を用いつつもダンスに密接に結びついたな映像など、様々な要素が混在していることも特徴です。だからこそ、先端アーティスト集団として、ダンス作品が多様なシーンで話題になったりと、現在では、国内だけでなく世界へも活動の幅を広げることができています。

これまでにカンパニーとしては「ALARM!」「GEEEEEK」「E/G」「Matar o no matar」などを発表しています。ソロ作品では、「ERROR CORD」「VACUUM ZONE」「MESs--メス」を発表しました。最新作「[リゾーム的]なM」は「New Dance Performance Tour 2009」として東京では「吉祥寺シアター」、関西では「アイホールダンスコレクション」に続いてドイツのデュッセルドルフ、ミュンスター、ベルリンなどでの公演が決定しています。



BABY-Q Dance Performance「GEEEEEK - 愛の乞食と感情の商人、その家畜たち ───」2007


「BABY-Q」で振付家/ダンサーとして活躍する傍ら、煙巻ヨーコとしてもソロ活動されてますね。まず、「煙巻ヨーコ」という名前の由来を教えてください。また、煙巻ヨーコとしては、どのような活動をされているのですか?

煙に巻かれるように観客のみなさんがダンスを観て、ここがどこで、自分が誰で、これがどういうことなのかよくわからなくなっていく。そういった意味のほか、いつも白い衣装をきていたので、写真に撮ると、白い残像で写真に残る動きが煙のようにみえてしまう。といったところからきています。活動としてはソロで、即興で、ミュージシャンや映像作家や造形作家など、ほかのジャンルの方々と共演しています。


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BABY-Q Solo Dance Performance「ERROR CORD /// pclost469hsholecp」2005 / Photo: 井上嘉和


東野祥子と煙巻ヨーコの活動内容に、ダンスグループとソロという点以外では、どのような点で異なるのでしょうか?

煙巻の場合は無責任でいいというか、東野祥子では、「BABY-Q」という母体を引っさげているので、抱えている責任というものがあります。その点、煙巻はもっと“悪い”というか、自由でどこででも踊る。自由度が高い存在で、神出鬼没です。


数々なダンスワークでは音楽や映像、舞台美術、衣装などにもこだわりが感じられます。音楽では、これまでに中原昌也氏や灰野敬二氏など、特にノイズ音楽を手掛けるミュージシャンとの即興セッションを行っている印象があります。ダンスをする際にこだわっている音楽ジャンルはありますか?また、その音楽という違った要素が結びつくことでどのようなダンス表現が可能となるのでしょう?

ジャンルというよりかはその質にこだわります。基本的にノイズが多くなりますが、音の世界を大事にしているというか、音に対しては神経質です。作品の中で音がつくる世界観を大事にしていて、音に影響されて出来上がるシーンも多い。それに合わせて伴奏として踊るというよりも、音が空間を構築していく感じ。ダンサーの踊りもメインではない。同等です。ダンス、美術、音、映像、照明、舞台空間、衣装、ビジュアル、情報、全部同じレベルで存在してほしいと思っています。


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Photo: Banri


ソロ、ダンスカンパニー、即興セッションなど、様々な形態で身体表現する際に、コアとなるようなアイデアや表現したいことなど、何か共通していることはありますか?

センスです。「この感覚をわかりますか?」っていうところですね。自分のセンスと相手のセンス、お客さんのセンス。そして、私としても、いろんな状況で踊ることを通し、修行しているところもあります。


身体表現する上でインスピレーションは何から得ていますか?

経験です。いろんな所に行くこと、体験すること、そこで感じること。それは日常の一部であり、海外などの知らないところへ行くことやいろんな舞台に立つことで得られることもあります。想像力がいかに柔軟で豊かかで、表現されるものは変わってきます。それをどう身体に取り入れるかは、日頃のトレーニングです。




L'EXPERIENCE JAPONAISE 2009 - Nîmes Biennial, 2009


これまでにアメリカ、フランスなど海外でも公演を行っていますね。海外での反響は日本と比べていかがでしょうか?

めちゃめちゃいいです。日本ではほかの観客を意識したり、遠慮したりするんですが、海外では自分の感じたままの反応を返してくれます。たいがい5〜6回のカーテンコールでなかなか引っ込めないという状況です。


今回、6月27日にYCAMにて煙巻ヨーコ名義で即興ダンスセッションを行うとのことで、「ALL LOVES YOU!」についてご紹介ください。どのような公演が期待されますか?

YCAMに巨大クラブが出現します!なかなかクラブで遊ぶという文化がない地方に、音楽業界における最先端のアーティストが集います。そこで、3人のミュージシャンと私のセッションが行われます。ダンスとダンスミュージックと空間と、すごいスペクタクルワールドが開かれること間違いないです。美術のOLEO、レーザー照明のYAMACHANG、映像のROKAPENISなど、周りをかためるメンツも、安心して任せられる人なんです。


参加されるミュージシャンとは今回が初めてでしょうか?また、今回の参加メンバーと組むことを決定した理由は?

EYEさん、オールタイチさんは初めてです。昔から何かやろうと話はしていました。カジワラトシオさんはBABY-Qのディレクター/音楽家としても最近コラボレーションしています。DJとしても最高です。MOOCHYはよくクラブで聴いていて、非常に繊細な音楽家です。このメンツはYCAMと私の間で何回も吟味し、オファーしていきました。それぞれが独立しておもしろい世界観が出せているし、知名度としても地方でもよく知っておられるかなと。唯一今はまだ無名なカジワラトシオさんに関してはニューヨークでの経験と音楽センスをみんなと共有してほしかったというのもあります。


今後のご予定をお聞かせください。

「BABY-Q」では、新作公演が東京の吉祥寺シアターで8月7〜9日、兵庫のアイホールで8月28~30日にあります。また、「[リゾーム的]なM 」のドイツツアーがデュッセルドルフ、ミュンスター、ベルリンで、「ALARM!」のノルウェーツアーがあり「CODA INTERNATIONAL DANCE FESTIVAL」で公演となります。



煙巻ヨーコ ダンスセッション「ALL LOVES YOU!」

日時:2009年6月27日(土) 18:00開場/開演
会場:山口情報芸術センター[YCAM]/スタジオA
住所:山口県山口市中園町7-7
TEL:083-901-2222
料金:前売 一般2,300円/any会員・特別割引1,800円、当日2,800円
山口市文化振興財団チケットインフォメーション(YCAM内):083-920-6111
出演/演出:煙巻ヨーコ(東野祥子)
DJ/Live:EYE (BOREDOMS/V∞REDOMS)、JUZU a.k.a. MOOCHY、OORUTAICHI、カジワラトシオ(DJ BING)、HARUCHIKA(people)
VJ:rokapenis
舞台デコレーション:OLEO
ライティング:YAMACHANG
http://www.ycam.jp


Text: Mariko Takei

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