塩田千春 個展「彷徨う魂」
現代美術の多様な特徴とその形態形成的な定式化は、芸術と人生の相互関係に照らして、現在の現実の論争の的となる要素を強調し、読み解くことを目的としている。新たな表現形式の確立は、芸術行為の実存的アイデンティティを本質化し、生と死という不変の要素だけでなく、人間の実体を定義するあらゆるパラメータや構成要素について、鑑賞者をアーティスティックな自己認識へと誘う。既知と未知、意識と無意識、変更と変容との出会いの延長としての芸術は、時間によって課される新たな次元と対話し、視覚的な結果をその追求の永続的な継続とみなす。
塩田千春《多様な現実》2024年, ミクスト・メディア © Kunsthalle Praha, Prague, Czech Republic, Photo: Vojtěch Veškrna
日本人アーティスト、塩田千春は、その多面的な言語形態によって、物質と精神性の間の弁証法に同意し、概念主義と象徴性の間でバランスをとり、イメージをリアリズムと連想的評価の紛れもない相乗効果へと変化させる。「彷徨う魂」は、プラハの美術館で開催された塩田の初個展であり、複数のジェスチャー表現、サイン、イメージ、形態的な信号化、現実と発明、精神的、美的な最終的な参照性が組み合わされている。塩田千春のイメージの解釈は、個人的な記憶を活性化させる非常に重要なプロセスであると同時に、自己の内面と世界を結びつけるための考えられる出発点を創り出すものでもある。
塩田千春《沈黙のコンサート》2024年, 焼けたピアノ、焼けた椅子、アルカンタラの黒い糸 © Kunsthalle Praha, Prague, Czech Republic, Photo: Vojtěch Veškrna
インスタレーション作品に共通する特徴は、経験や差異を単位化するフォーティオリ・ポイントとして、普遍性へと変容する経験的真実のダイナミズムを認識することである。塩田千春の芸術の人間中心主義的な特徴は、《多様な現実》と《沈黙のコンサート》における人間の存在/不在の二元論と相互作用する言語的多様性によって現れ、芸術表現の革新的な特徴を際立たせている。瞬間的なものと象徴的なもの、リアリズムと寓話、概念的なものと詩的なものは、主観的なものを無条件に客観的な次元へと変容させる感覚的な多義性を本質化する。
塩田千春《運命の岐路で》2024年, 鉄枠、ロープ © Kunsthalle Praha, Prague, Czech Republic, Photo: Vojtěch Veškrna
記憶、場所、個人的な物語、人生の刻印の多様な結びつきは、永遠の永久の時空の象徴と連想される現実の共存の出発点となる形態形成的な事件を活性化させる。《運命の岐路で》や《家に宿る心》は、塩田の芸術の光の下で、最終的に普遍的なアイデンティティを獲得する、人々や都市のありふれた生活の多次元的な物語との出会いを語り、参加させる。根源、着想、熟考、そして精神的でありながら具体的でもある2点間の弁証法は、塩田の個人的な旅の段階を構成している。
塩田千春《家に宿る心》2024年, 鉄枠、毛糸 © Kunsthalle Praha, Prague, Czech Republic, Photo: Vojtěch Veškrna
塩田千春の物質性やオブジェクトは、痕跡や瞬間、個人的な進化を意味すると同時に、人間の存在の性質や性格と対話する物語を構成し、芸術を、その紛れもない多様性を内面的に表現するための必需品へと変化させる。
塩田千春 個展「彷徨う魂」
会期:2024年11月28日(木)〜2025年4月28日(月)
開館時間:11:00〜19:00(水曜日21:00まで)
休館日:火曜日
会場:Kunsthalle Praha
住所:Klárov 5, 118 00, Praha 1, Czech Republic
TEL:+420 241 004 111
https://www.kunsthallepraha.org
Text: Nektarianna Saliverou
Translation: Saya Regalado
Photos: Vojtěch Veškrna © Kunsthalle Praha, Prague, Czech Republic