NAMURA ART MEETING ’04-’34 VOL.04「臨界の創造論」

HAPPENINGText: Kaku Akage

翌日午後1時半から、宇川直宏が創設した日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」では、今回のためにアメリカから来日した、キャロライナー・レインボーのメンバー、グラックスによる別バンド「Rubber (() Cement」によるライブ・パフォーマンスと、宇川直宏、東瀬戸悟(Forever Records)によるトークがストリーミング中継された。

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Rubber(()Cement DOMMUNEでのライブ・パフォーマンス 撮影:長谷川淳

幾何学的な模様で囲まれたステージ上で未来から来たサイバーロボットが暴れ出す。大音量のビートと彼が持つ楽器から奏でる音は、耳を、心臓を刺激し、スモークが立ち込める中誰もがステージに釘づけになっていた。彼らの生み出す音やパフォーマンスはあっという間に会場を飲み込み、まるで異世界にいるような感覚を生み出していた。

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山川冬樹 真夜中ミーティング NAMURANITE 「現代表現群の系譜-2」でのパフォーマンス 撮影:漆原未代

数多くのインスタレーションが開催されたが、このイベントは鑑賞するだけが楽しみ方ではない。真夜中ミーティング、NAMURANITE「現代表現群の系譜」では、様々なバックグラウンドを持つアーティスト達による現代のアート、カルチャーについての実に興味深いトークが繰り広げられた。

1部では宇川直宏、服部滋樹、水田拓郎(dj sniff)によるラウンドテーブルが開かれ、2部ではパフォーマンス&トークとして今野裕一、タニノクロウ、dj sniff、山川冬樹が登壇した。現代表現のあり方を問いながら、それぞれ独自の世界観を示すアーティスト達の思考法を目の当たりにし、多くの人々が引き込まれていた。イベントの最後を締めくくるのが佐々木中によるダイアログ「臨界の創造論」。

『シャッター速度はゼロになることはない。だから写真は常に動いている。』日常で自分が当たり前だと思うことが彼の一言で覆される。現在進行形で考えながら語る佐々木中の言葉に引き込まれてしまった者も多いであろう。

そしてこのイベントを更に盛り上げてくれたのが、数々の “食” である。製図棟にはカフェが並び、そこはいつも人の絶えないスペースであった。また「BREAKFAST FAST」では朝ごはんを皆で食べながら、様々なアーティスト達のライブパフォーマンスを楽しむというものであった。屋内ステージでは音楽が流れ、外は良い匂いで立ち込める。もちろんパフォーマンスはステージ上だけでなく、時に青空のもとで、時に料理を皆で囲んでと、2日目の朝を和やかに彩るイベントであった。

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アキビンオオケストラ モーニングイベント「BREAKFAST FAST」でのライブ 撮影:漆原未代

様々なアーティスト、様々な場所、様々な〈出来事〉と、内容がふんだんに詰め込まれたNAMであったが、時の流れは実にゆったりしたものだったように思える。26時間という長い時間だからこそ、一つ一つの作品に時間を掛けて向き合える。ただ受動的に鑑賞するだけではない。広い空間の中で作品それ自体を感じる。そして何より環境との融合。造船所跡地だからこそ、作品を吊り上げるクレーンまでもが絵になる。新しきものを作るだけが創造ではない。昔は造船所であったこの土地をどう利用していくか。既存のモノをどう組み合わせて新しく命を吹き込むのか。

NAMはまだ8年目。残り22年間、時代が変わればもちろん環境も変わる。風営法によりクラブカルチャーに表現の規制がかかっているように、今後もアートを取り巻く環境や社会は変わっていくだろう。その中で、“芸術について考える場” を私たちに与え続けて欲しい。そこで出会う私たちが “〈出来事〉を共有できる場” を与え続けて欲しい。そんな願いを込めて、次のVol.5に期待と想いを馳せる。

NAMURA ART MEETING ’04-’34 Vol.04「臨界の創造論」
会期:2012年10月20日(土)〜21日(日)
会場:名村造船所跡地
住所:大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
TEL:090-9690-2225
https://nam04-34.jp

Text: Kaku Akage
Photos: Jun Hasegawa, Miyo Urushihara

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