サエボーグ
PEOPLEText: Karl Doyle
東京、青山にある岡本太郎記念館で、第17回岡本太郎現代芸術賞の受賞作家特別展の第二弾として「HISSS」が展示されていた。それは「岡本敏子賞」を受賞したサエボーグという名の現代美術家による、伸縮性のあるラバー製のボディスーツで制作された、巨大な蛇をモチーフにした「火ぐるみ」(ファイヤーラップ)という作品。一見、サエボーグは好んで動物をテーマに選んでいるようだが、そうではない。そのユニークなコンセプトの裏側を探った。
Pig made from Rubber, Photo: ZIGEN
名前の由来を教えて下さい。
本名は「サエコ」なのですが、サイバネティック(人口頭脳学)技術に興味があるので、名前とサイボーグと組み合わて「サエボーグ」としました。ラバーを使った作品制作を行なっている現代美術家です。
最初にラバーやラテックスに興味を持ったのはいつですか?
20歳の頃に新宿のラバーショップへ行って、そこで見つけたラバーマスクがすごく面白かったんです。映画「ヴェガス・イン・スペース」(1991年)の印象もとても強く、ラバーへの飽くなき挑戦の旅が始まりました。
Saeborg installation
動物をテーマにしている理由は何でしょうか?
動物に特別に興味があるわけではなく、人間ではないということの方がメインです。特に、羊や豚、鶏など食肉や皮革加工目的で飼育される弱い動物を、モチーフに選んでいます。人間のために繁殖させ、と殺するプロセスは、私にとっては非常に人工的で不自然なのです。
Pig made from Rubber
今後の予定を教えていただけますか?新しい動物やキャラクターは登場予定ですか?
えぇ、すごく面白いことになっていますよ。今は蛇の作品に取りかかっています。「エデンの園」に出てくる神話のセルパン(イヴを誘惑して禁断の果実を食べさせた蛇)など楽園から追放された存在を炎に例えたり、善や賢さを表す角と、邪悪さや危険を表現するメドゥーサの頭(蛇・炎)のバランスにもとても興味があります。日本人にとっては、聖書に出てくる蛇のような架空の生き物である「怪獣」との歴史が長いです。来年の始めにはメタファーとして蛇を使った新作を発表する予定です。
Saeborg installation at the Taro Museum, Kawasaki
東京の有名なアングライベント「デパートメントH」でもパフォーマンスをなさっていますね。その場所についてもう少し聞かせて下さい。
デパートメントHには、ゲイやレズビアン、ドラッグ・クィーンも集うのですが、特にカテゴライズできないような人々とのやりとりが楽しくて、何年もデパートメントHのファミリーの一員だった時期があります。毎年5月に日本で大規模なラバー・フェスを開催していて、デパートメントHがホストとなって、新しいデザイナーやパフォーマーによるラバー・ファッションショーを開催していました。これがすごく楽しくて、私も一緒に新しいクリエイターの広報やサポートを行い、同時に自分の作品もステージで発表していました。
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