リヨン・ビエンナーレ 2009

HAPPENINGText: Kana Sunayama

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Dan Perjovschi – installation view

二つ目は「派生礼賛」。
このチャプターにはアデル・アブデセメムド、オリヴィエ・ヘリング、リン・イリン、HeHeなどのビデオや写真作品に見られるような、 私たちになじみ深いはずの街角で日常から脱線した不条理な事態が起こっているのにも関わらず、どこまでも他人事として驚きながら笑いながら眺める私たち観客の反応のどこかで、現実的な恐怖感を煽る展示や、ダン・ぺジョヴスキ独特の、壁一面にはられた黒板にチョークで毎日少しずつのメッセージが加えられていく直接的社会批判を面白おかしく見せる作品が印象的であった。

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Sarkis – Le monde est illisible, mon coeur si, 2002

三つ目は「共に生きよう」。
このチャプターでは街という単位やあるコミュニティーに注目したカテリナ・セダやサルキスの作品が目を引いたが、最も衝撃的であったのは、アラン・ブルフィンの作品であった。 静かな住宅街の芝生の上で遊ぶ思春期の子供たちのうちの一人の女の子がカメラの前に直立し何か液体のようなものを頭からかぶる。彼女の兄か友人かの別の男の子が、彼女に何かを投げる。するとその女の子があっという間に炎上し、周りの子供たちがはしゃぎまくるというビデオ作品。 YouTubeにアップされていても不思議ではないような、携帯電話で撮影された画質の悪いホームビデオのように仕上げられていることが、より一層そのビデオの真実性を深めさせ、作品の前で足をとめた私たちは目をこすることになる。

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