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私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために

HAPPENINGText: Alma Reyes

長年にわたり、地球規模の環境危機と気候変動というテーマは、教育、経済、科学、政府、政治の各分野において、常にセンシティブで論争の的となってきた。地球の人口は現在約80億人に膨れ上がり、その結果、人為的な物質(コンクリート、プラスチック、鉄鋼、ガラス、アスファルト、レンガ、金属など)が増え続け、生活圏を恐ろしいほど覆い尽くしている。専門家によれば、その数はおよそ20年ごとに倍増し、動物、樹木、微生物、そして人間を含むすべての生物の量を上回っているという。このような過剰な浪費、天然資源の枯渇、自然保護の怠慢に対する反発として、数多くの団体が積極的なプログラムを開始している。実際、このジレンマに対処することは緊急性を超えている。


イアン・チェン《1000(サウザンド)の人生》2023年、展示風景:「Ian Cheng: THOUSAND LIVES」ピラー・コリアス・ギャラリー(ロンドン)2023年、撮影:Andrea Rossetti、Courtesy: Pilar Corrias, London; Gladstone Gallery, New York

このテーマは、現在、森美術館で2024年3月31日まで開催されている森美術館開館20周年記念展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」でも取り上げられている。世界16カ国34組のアーティストによる写真、彫刻、絵画、版画、テキスタイル、映像、インスタレーションなど約100点の作品は、私たちの生息域の危機を広く認識させ、生態系の未来の枠組みを考察するという、手間のかかる、しかし意義深い挑戦である。その概要は、生態系のサイクル、汚染による有害な影響、人的資源の搾取、そして変化する人間の状況を癒す、あるいはさらに腐食させる未来のテクノロジーをカバーする4つの章にまとめられている。


ハンス・ハーケ《海浜汚染の記念碑》(《無題》1968-1972/2019年の部分)1970年、Courtesy: Paula Cooper Gallery, New York © Hans Haacke/Artists Rights Society (ARS), New York

第1章「全ては繋がっている」では、エコロジーと経済、社会生活、日常生活、そして有形無形の物質(動物、植物、微生物、製品、データ、廃棄物など)の絶え間ない循環との繋がりを定義する現代アーティストたちの作品が紹介されている。キネティック・アート、環境アート、コンセプチュアル・アートの第一人者であるドイツ人アーティスト、ハンス・ハーケは、スペインのカルボネラスという海岸沿いの町でハーケ自身が収集したゴミによる仮設彫刻「海浜汚染の記念碑」(1970年)を含む一連の記録写真を展示している。この写真は、海に散見されるゴミのキロメートル単位の広がりを示している。


ニナ・カネル《マッスルメモリー(7トン)》2022年、展示風景:「Tectonic Tender」ベルリーニッシェ・ギャラリー(ベルリン)撮影:Nick Ash ※参考図版

スウェーデンのニナ・カネルによる、5トンの貝殻を敷き詰めた「マッスルメモリー(5トン)」(2023年)は、来場者をその上を歩くように誘い、貝殻が砕ける音を発しながらやがて粉々に砕けていく大規模なインスタレーション。展示されているホタテの貝殻は、年間20万トン以上の貝殻が廃棄される北海道から採取された。貝殻という有機物がセメントなどの建材として再利用するには、洗浄と焼成の工程を要し、重油由来のエネルギーを無駄に消費することになる。

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