ヨコハマトリエンナーレ 2017

HAPPENINGText: Aya Ono

2015年にニューヨークのMoMAで個展を開き話題となった新進気鋭のエジプトのアーティスト、ワエル・シャウキーによる、映像作品。キリスト教側ではなく、アラブ側からの視点で描いた十字軍の歴史を辿る人形芝居劇「十字軍芝居 聖地カルバラーの秘密」。広々とした真っ暗なスペースに絨毯が敷き詰められており、座ってゆっくり鑑賞することが出来る。ヴェネチアン・グラスで作られた操り人形は瞬きをするとカチカチと音を奏で、語り口も静かで優しく、淡々と物語は進んでいく。音楽、美術共に美しく、どこか哀しげで異国情緒ある不思議な世界観に包まれる作品だ。

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ワエル・シャウキー《十字軍芝居:聖地カルバラーの秘密》より 2015 © Wael Shawky; couetesy Lisson Gallery

三つ目の会場、横浜開港記念会館では今回のために特別に開放された地下のスペースでは、犬島アートプロジェクトでも知られる世界的な現代美術家の柳幸典のインスタレーションが会場全体を使って展示されている。入り口から真っ暗で、じめっとした空気に少しカビ臭い。不気味な音と不穏な空気のなか進んでいくと、真っ赤な電飾に囲まれた部屋に辿り着く。「Article 9」と題されたこの作品は、LED掲示板に表示された憲法第9条が文節ごとに分解され、床に散乱している。決して快適な環境とは言えない怪しい地下室という空間での問題提起を意図するインスタレーションは、感慨深いものがあった。

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柳幸典「Article 9」2016

スペースを広く使った展示が魅力の今回の横浜トリエンナーレ。「島と星座とガラパゴス」というタイトルのもと、テーマである「接続性と孤立」に沿うように、一人のアーティストに対して一作品ではなく、複数の作品が会場内に星や島のように点在し、それらが「星座」のように繋がる。横浜みなとみらいという非日常的な土地性を活かし自由にゆっくりと会場を巡ることができた。

三つの会場で展示された数多くの作品の中から、今回は歴史にフォーカスをあてた作品を主に紹介したが、これらの作品を通して改めて歴史の重み、そしていま世界が抱える問題を心に突きつけられる経験となった。

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」
会期:2017年8月4日(金)〜11月5日(日)
会場:横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館 地下 ほか
開場時間:10:00〜18:00(最終入場17:30)
主催:横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団、 NHK、朝日新聞社、 横浜トリエンナーレ組織委員会
http://www.yokohamatriennale.jp

Text: Aya Ono

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