オラファー・エリアソン 展「ときに川は橋となる」
HAPPENINGText: Sophia Sloan
オラファー・エリアソンの日本における10年ぶりの個展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」が東京都現代美術館にて開催中だ。本展覧会はまさに不思議な体験と相互作用を生む空間である。 アイスランド系デンマーク人アーティストのオラファー・エリアソンは写真から建築にいたるまで幅広いアート作品でその名を知られているが、今回は近年のインスタレーション作品と新作を織り混ぜて構成している。彼は自然現象である水、空気、光などに対する関心をしばしば作品に反映しており、自然や環境と人間の関係性を問いかけてくる。
Olafur Eliasson, Beauty, 1993. Installation view: Museum of Contemporary Art Tokyo, 2020. Photo: Kazuo Fukunaga. Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 1993 Olafur Eliasson
部屋から部屋へのドラマチックな展開は、展覧会全体の最も注目すべき側面である。眩しいほどのエントランスを潜り抜け、ほの暗く神々しい部屋に入ると、《太陽の中心への探査》(2017) が中央に展示されている。宙に浮かんでいるような多面体のオブジェがゆっくりと回りながら部屋一面を色とりどりの光で照らし出す。色がきらめき動くことで部屋自体がゆっくりと回転しているように錯覚する。何人かの観客は進んで間近でオブジェを鑑賞していたが、多くは少し離れた場所から自身も光に照らされる風景の一部となって楽しんでいた。この先の展示へ歩を進めるにあたって、心理的転換になるような刺激的な作品であることは間違いないだろう。
Olafur Eliasson, The exploration of the centre of the sun, 2017. Installation view: Museum of Contemporary Art Tokyo, 2020. Photo: Kazuo Fukunaga. Courtesy of the artist and PKM Gallery, Seoul © 2017 Olafur Eliasson
展覧会を進むにつれて、暗い部屋から明るい部屋への移動を繰り返しているパターンに気づかされる。これは次々と新しい環境へ立ち入っていくことを示唆している。さらに、各スペースでは様々なレベルのインタラクションが行われている。片や観客は強制的にインスタレーションに関わらざるを得ない状況にある。
Olafur Eliasson, Your happening, has happened, will happen, 2020. Installation view: Museum of Contemporary Art Tokyo, 2020. Photo: Kazuo Fukunaga. Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2020 Olafur Eliasson
例えば《あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること》(2020) のスペースに踏み入れた瞬間、自分の影が反対側の壁に投影されることで動きは増幅され、歪められる。片や《サンライト・グラフィティ》(2012) では、能動的な働きかけが必要になってくる。観客がソーラーパワーのランプを動かすことで儚い残像を暗闇の中に生じさせる仕組みになっている。
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