横浜トリエンナーレ 2011

HAPPENINGText: Toshiaki Hozumi

3年に一度の国際美術展・横浜トリエンナーレの第4回目が、8月6日(土)からいよいよ始まった。総合ディレクターとして逢坂恵理子(横浜美術館館長)、アーティスティック・ディレクターとして三木あき子という女性ふたりが、4回目にして初めて就任したということでも話題になっている。

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Carsten Nicolai, autoR, 2010 / 2011 (New Version). Installation view for Yokohama Triennale 2011. Courtesy Galerie EIGEN+ART, Leipzig / Berlin and The Pace Gallery Photo: Keizo Kioku. Cortesy of Organizing Committee for Yokohama Triennale

また、その中で、初めて横浜美術館が主会場のひとつとなった。またもうひとつの主会場は、前回も使用された日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)であり、非日常性や新鮮味の薄い既存のホワイトキューブ施設を使って、どれだけ国際展としての祝祭性が保てるのかが興味をひくところでもあった。

これまで横浜トリエンナーレは国際交流基金と横浜市、NHK、朝日新聞社が主催となっていたが、今回は事業仕分けのために、主催から国際交流基金が離脱し、横浜市が運営の主軸となった。その上での国際展としては苦肉の会場選択と言えるであろう。

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Ugo Rondinone, moonrise.east.march, 2005. Photo: Ellen Page Photography, New York © Ugo Rondinone. Courtesy the artist and Galerie Eva Presenhuber, Zürich

今回のトリエンナーレのテーマは、「OUR MAGIC HOUR - 世界はどこまで知ることができるか?」。アートの力によってひとびとを別世界へ誘うという意味では、第2回展の「アートサーカス」(2005)、第3回展の「タイムクレヴァス」(2008)と共通しているが、今回は、魔術的だったり不思議だったりプリミティヴだったりするような作品約300点(77組/79名)が展示されている。

テーマを補完する具体的なメタファーとして、「円・球/循環」「儀式」「錬金術」「夢」「見えるもの/見えないもの」「トランス=神がかり」などといった、作品を読み解く様々なキーワードがちりばめられていて、そのキーワードをどの作品に読み取り、どの作品同士を結び付けて、どのようなストーリーを紡いでいくか、個々の観覧者に任されている。

中には横浜美術館の所蔵品であるマグリット、エルンストなどのシュールリアリズムの画家の作品や、時空を超えて語りかける浮世絵、また北海道出身の砂澤ビッキの作品などもとりまぜているが、約9億円という国際展としては決して多くはない予算の中で、新旧かかわらず作品の結びあう意味を輻輳させ、テーマを広げようとする試みであろう。

まず、横浜美術館のファサードには、ポスターにもなっているウーゴ・ロンディノーネ(スイス/アメリカ)の作品が12体並び、アニミズムとアニメキャラの混淆のような作品が子供たちの人気を集めている。

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