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スーパーマーケット・オブ・イメージズ

HAPPENINGText: Stephanie Bui (The Daily Couture)

私たちのこの世界はイメージで溢れている。パリのジュ・ド・ポーム国立美術館にて2020年6月7日まで開催されている展覧会「スーパーマーケット・オブ・イメージズ」は、チーフキュレーターのピーター・センディの著書「スーパーマーケット・オブ・ヴィジュアル」と、ジル・ドゥルーズの「アイコン」と「経​​済」からの造語「アイコノミー」を反映させたイメージの経済的側面についての疑問を投げかけている。エマニュエル・アロア、マルタ・ポンサと共に今回キュレーターを務めた、労働者をテーマにイメージを探索する哲学者ピーター・センディは、この展覧会はマルクス主義の観点から、イメージの重要性を鋭く精査している、と言う。イメージは素材となる場面の裏側のインフラによって生み出された工業製品だ。保管、管理、輸送(デジタル通信にかかるエコな費用も含む)、イメージが辿る経路、重量、取引の流動性または粘性、変動する価値など全てがこれに関わる。


Andreas Gursky “Amazon”, 2016 © Andreas Gursky. Courtesy of the artist and Sprüth Magers / ADAGP, 2019

今回の展覧会が追い求めるものは、 イメージの重要性を明らかにする一方で、それらが重要ではないものと見なされる、イメージのパラドックスがあると、センディは主張する。48人のアーティストが、イメージの中の目に見えないものをストック、素材、作品、価値観、交換という5つのテーマに従って再考する。マーサ・ロズラーの作品のような60年代のものを含む、アイコノミーのレンズを通してアプローチする67の作品が、アート作品の新たな読み解き方を提案する。こういった作品を通して、グローバル化されたアイコノミーの時代に、可視性にいったい何が起きたのかという全てが疑問となって現れてくる。イメージの経済的エコシステムの鋭い探求を明らかにすることは、同時に私たちを減速させ、私たち自身と美学の問題をはるかに超えた意味が吹き込まれたイメージとの関係を精査、イメージの価値という多面的なテーマに取り組むこととなる。


Martha Rosler “Cargo Cult” from Body Beautiful, or Beauty Knows No Pain, 1966-1972. Courtesy of the artist and la galerie Nagel Draxler Berlin / Cologne © Martha Rosler

キュレーターからの複雑な疑問の観点を考慮した、展覧会のエヴァン・ロスによるメイン作品「Since You Were Born」(2019-2020)は、アイコノミーのやりとりの手段と、それにただ従う私たちについて、鋭い視点で伝えてくれる。このアーティストは、ネットワークを介して行われる調査、買い物、個人的、専門的なコミュニケーション、読書、レジャーの相互作用を探求していく。それらは消えない痕跡を残し、ネットワークストアを提供して収益化する大企業であるデータを生成する。


Evan Roth “Since You Were Born”, 2019 © Photo: Bob Self, The Florida Times-Union. Courtesy of MOCA, Jacksonville, Florida

2012年、エヴァン・ロスは、彼のコンピューターのキャッシュに蓄積された画像を使用したインターネットキャッシュというタイトルのシリーズ作品の制作を始めた。これらの作品では、ロスは、スプライトシート(2ビットのビデオゲームアニメーション)を作成するために使用するソフトウェアを採用し、それをアルゴリズムによって決定される次元を持つ画像グループを生成するために変形して制作されている、と学芸員のマーサ・ポンサが説明してくれる。ハッカーの思考が取り入れられたロスのアート作品は、フリー・アート・アンド・テクノロジー・ラボ(F.A.T.ラボ)などの団体ともコラボレーションを行っている。

今回のインスタレーションでは、ロスは、2016年6月29日の次女の誕生をプロジェクトを作成する出発点に定め、選別や序列をつけることなく、ウェブキャッシュに保存されている全ての画像を印刷した。家族の写真、ロゴ、スクリーンショット、広告バナーなどが蓄積され、観る者の周りの視覚空間を飽和させ、自分たちのイメージに対す関係性と目に見えないままにされているアイコノミーの舞台裏で何が起こっているのかに疑問を投げかけるのには最適な、壮大で目を見張るような作品を生み出す。 展覧会で取り上げられた画像を生み出した文脈、時間、空間が何であれ、アイコノミーは意味を作り出す強力な概念であることが分かるのだ。

The Supermarket of Images
会期:2020年2月11日(火)~6月7日(日)
開館時間:11:00~19:00(火曜日21:00まで)
定休日:月曜日、祝日
会場:Jeu de Paume
住所:Paris 1, place de la Concorde 75008 Paris
入館料:大人 10€、学生、シニア7.50€
TEL:+33 (0)1 4703 1250
https://www.jeudepaume.org

Text: Stephanie Bui (The Daily Couture)
Translation: Satsuki Miyanishi
Photos: Courtesy of the artist, Jeu de Paume

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