宮島達男 展「アート・イン・ユー」
HAPPENINGText: Yutaka Takamura
水戸芸術館で開催された「宮島達男|Art in You」と題されたその展覧会は、首都圏では8年ぶりとなる宮島達男の大型個展である。この展覧会のシンボル、3800個のLED(発光ダイオード)が使われた大型作品「HOTO」をはじめ、幾多の作品が展示されている。
HOTO, 2008. Courtesy of Shiraishi Contemporary Art Inc. and Lisson Gallery 「宮島達男|Art in You」2008年 水戸芸術館現代美術ギャラリーでの展示風景 撮影:Daici Ano 写真提供:水戸芸術館現代美術センター
光の遮られた展示室に直線に並べられ赤色に明滅するLED。羅列するデジタルカウンターの中央部には、人一人分ほどの幅の「闇」が存在する。1992年に発表されヒロシマに捧げられた作品、「Death of Time」に代表されるように、宮島氏の主作品はLEDデジタルカウンターによって表現される。0(zero)を除く1から9までの数字により、連続性、関係性、永遠性を問い、死を暗示することで生を表現する。
宮島達男は、1999年に行われたヴェネチア・ビエンナーレ日本館の作家に選出(作品名:Mega Death)されるなど、国内外から高い評価を受ける日本を代表する現代美術作家の一人であり、作品コンセプトの根底には一貫して「命」が刻まれ、本展「宮島達男|Art in You」においてもそれは変わらない。しかしながら、同時に明らかな変化を感じることもできる。
Counter Skin in Hiroshima – 3 black, 2007
その最たるものが、宮島氏初の写真作品である「Counter Skin」であろう。制作は、北海道、奈良、広島、沖縄の4ヶ所で行われたワークショップキャラバンを通じて行われ、それぞれの土地での参加者たちが被写体となっている。参加者と宮島氏は会話をし、触れあい、時間をかけて近づいていく。全ての可能性を残した数字(つまり8)が描かれた後、それらは特定の数字へと変化し、彼らが立つその場所とともに写真へと映しだされていく。個々の肉体には無機質なはずのデジタルカウンターの数字が躍動感を持って浮かび上がる。
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