デジタル・レボリューション

HAPPENINGText: Mike Sullivan

私にとって、ロンドンのバービカン・センターへの旅は、いつもバービカン地下鉄駅からすぐに始まる。この場所から正面玄関へとつながる長い地下トンネルがある。バービカン・センターは、外側を見ると1970代のブルータリスト建築だが、その内側は現代文化において確かに驚くべき代物であるのだ。現在デジタル革命と題された展示会が、このような会場で催されているのは、かなりふさわしいと言える。なぜならこの展示会は、これまでイギリスで公開されたデジタル創造物の最も包括的な披露の場とされているからだ。

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Digital Revolution installation images, Digital Archaeology section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

いったんこの素晴らしい会場へ続く正面玄関を通過すれば、この展示会がいかに人気を博しているかを示す印象的な光景が迎えてくれる。デジタル革命への時限入場の待ち行列だ。加えて、単なるチケット購入の待ち行列もある。ただ立ち寄ってそのまままっすぐ入場したい方は不快に思うかもしれないが、実際、待つだけの価値がある。主催者側は、映画制作者やデザイナーから、実際にデジタルメディアの最先端で仕事をしているミュージシャンやゲーム開発者に至るまで、多数の人々を呼び寄せている。

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Digital Revolution installation images, Creative Spaces section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

実際、展示会の関連者リストは、真に畏敬の念を起こさせる。例えば、アンブレリアム、ユニバーサル・エブリシング、ミニマフォームズ、スーザン・ケア(マックペイントのデザイナー)、国際的音楽アーティストウィル・アイ・アム、スズキユウリ、パシャ・シャピロとエルンスト・ヴェーバーに留まらず、展示品には、ダブルネガティブ(クリストファー・ノーラン監督の映画インセプション)による作品、アルフォンソ・キュアロン監督のゼロ・グラビティの背後にあったティム・ウェバーとフレームストア社の革新的な視覚効果も含まれる。他には、ラファエル・ロサノ=ヘメル、リン・ハーシュマン、クリス・ミルク、アーロン・コブリン、リリアン・シュワルツ、オリア・リアリナやビョークなどのアーティストも名を連ねている。

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Digital Revolution installation images, Digital Archaeology section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

バービカン・センターの最もよい点は、この偉大な多用途会場には待っている間もかなり見るべきものがあることだ。あるいは、カフェやバーでひと休みすることもできる。展示スペースに入ると、最初に、時代を遡って1970年代から現代までのハードウェアとソフトウェアを実際に使用できる、デジタル考古学のセクションがある。来場者は、ポンなどの古典的なゲームをプレイしたり、ティム・バーナーズ=リーによる至上初のWebサイトを閲覧したり、単純に、何十年か前に人気があったが、現在では珍しい機械を見ることができる。例えば、家庭用に販売された最初のコンピューターのうちのひとつ、シンクレアZX80や、最初の音楽シンセサイザーの例さえも展示されている。このセクションの特に魅力的な一面は、幼い子供たちこそが多くのゲームをプレイしていた事実であり、彼らが完全に夢中になっていたことだ。

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Digital Revolution installation images, We Create section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

「ウィー・クリエイト」と題されている次のセクションでは、来場者が電話を使って鳴らすことのできる、まるで鳥のような携帯電話があるだけでなく、マインクラフトが設置されていて、実際にプレイ可能なので、オンラインコミュニティにも認知を広げているといえる。このエリアで注目すべきところは、ジョニー・キャッシュ・プロジェクトと呼ばれる、クリス・ミルクとアーロン・コブリンのクラウドソーシングのトリビュートサイトである。来場者はジョニー・キャッシュのオンライン映画トリビュートへフレームを作成することができる。次のセクションは「クリエイティブ・スペース」だ。このエリアは、映画「ゼロ・グラビティ」と「インセプション」が作られた手法についての説明と共に、映画の視覚効果を学ぶことができるので、映画ファンに好まれている。「ゼロ・グラビティ」の展示では、複数のスクリーンでどのようにこの映画が一つに紡がれたのか知ることができる。

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Digital Revolution installation images, will.i.am’s artwork Pyramidi in the Sound & Vision section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

「サウンド&ビジョン」エリアは、ミュージシャンがいかにしてデジタル技術を用い始めたのかを示している。これは、ウィル・アイ・アムとスズキユウリ、その他のアーティストによるピラミディに焦点を当てている。ピラミディはMIDIからどんな音楽でも再生することが可能である、多様な機械楽器で構成されている。また、これはアプリを基本としたプロジェクトであり、この分野ではアーティストが音楽を視覚化するために躍起になっている。

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Digital Revolution installation images, The Treachery of Sanctuary in the State of Play section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

「ステート・オブ・プレイ」のセクションは、来場者がデジタル投影と触れ合うことができるため、非常に人気がある。「トレッチャリー・オブ・サンクチュアリ」の投影では、インストレーションに基づいた数枚のスクリーンを用いることで、人々が自分の「影」を操作することができるようになっている。例えば、人の影が投影されているスクリーンの前に立ち、頭上に腕を上げると「影」に翼が現れる。そして、腕をばたばた動かすと、「影」が飛び立つ。翼を持って、空を飛ぶことはどうやら共通の夢のようだ。

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Digital Revolution installation images, Minimaforms’ Petting Zoo section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty mages, #digitalrevolution

デバートは、グーグルやバービカンによるコードで作られたアートを探求する大規模なプロジェクトとともに、独自のエリアを割り当てられた。これらの企業は、インターアクティブ・デジタルアートインストレーションを開発するために、原料であるコードを用い、一種のキャンバスとして技術を使用する、本質上は開発者である。例えば、近づいた人物のデジタル版をスクリーンが再現する。それを見るのもとても面白いが、自分自身の写真をデジタル画像として撮影できるため、来場者の注目を集めている。

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Digital Revolution installation images, Our Digital Futures section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Matthew G Lloyd/Getty Images, #digitalrevolution

「私たちのデジタル未来」と題された展示会の最後のセクションは、未来に向けたものとなっており、次に来たる可能性のあるものに焦点を当てているデザイナーやアーティストを紹介している。例えば、レディー・ガガの「ハウス・オブ・ガガ」の技術部門であるテックハウスのロンドンを拠点としたスタジオXOのファッション技術と並び、着られる技術や、太陽光発電のファッションの可能性を探るプロジェクト、ポーリン・ファン・ドンゲンのウェアラブル・ソーラー(2013)などが取り上げられている。

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Digital Revolution installation images, Umbrellium’s Assemblance section, Barbican Centre, 3 July – 14 September 2014, © Duncan McKenzie, #digitalrevolution

展示会の他のセクションとは一線を画している「インディ・ゲームズ・スペース」では、現代の国際独立プロ開発者らによるゲームをプレイできる。アレキサンダー・ブルースによるアンチチェンバー、エド・キーとデヴィッド・カナガによるプロテウス、ジェノヴァ・チェンによるジャーニー、マイク・ビセルによるトーマス・ワズ・アローンなどのゲームが用意されている。さらに、バービカンの劇場スペースには、アンブレリアムのウスマン・ハックとドット・サムセンがアセンビュランスと呼ばれるアートワークを作り上げた。来場者が暗い廊下を通ると、そこには、メインエリアに到達するまで、「後ろを見て」、「両腕を挙げて」などの指示が一方の壁に書かれている。頭上から降り注ぐレーザー以外にライトはない。しかし、そのレーザーは、手で掴み、操れるような通常のレーザー光ではないのだ。ライトには扱いにくいものや、掴みにくいものがあるため、つまり捕まえるためには協力が必須となる。であるから、注意しなければならない。

Digital Revolution
“An immersive exhibition of art, design, film, music and videogames”

会期:2014年7月3日(火)~9月14日(日)
時間:10:00〜18:00
会場:Barbican Centre
住所:Barbican Centre, Silk Street, London EC2Y 8DS
TEL:+44 020 7638 4141
http://www.barbican.org.uk

Text: Mike Sullivan
Translation: Ayana Ishiyama

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