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NAMURA ART MEETING ’04-’34 VOL.04「臨界の創造論」

HAPPENINGText: Kaku Akage

10月21日、22日大阪の北加賀屋にある名村造船所跡地で、26時間連続のアートイベントが開かれた。「NAMURA ART MEETING ’04-’34 Vol.04 臨界の創造論」(以下NAM)と題するこのイベントは、2004年のVol.00から30年間に渡って開催される長期的な試みであり、今回はその第5回目となった。「26時間連続」「造船所跡地」「個性豊かなアーティスト達」。それだけでワクワクするこのイベントは、一体何なのか。

NAMURA ART MEETING ’04-’34 Vol.04「臨界の創造論」
ヤノベケンジ「THE STAR ANGER」インスタレーション 撮影:長谷川淳

午後4時、造船所内に美しい夕日が照らす頃、イベントは開幕を迎える。敷地に入ってまず目を引くのがドラゴンの乗った巨大なミラーボールであろう。オープニングと共にクレーンによって高々と挙げられたこのミラーボールは、ヤノベケンジの新作「THE STAR ANGER」である。敷地内に心地よいクラブミュージックが流れる中、光に照らされて堂々と輝きを増すミラーボールに、多くの来場者が目を奪われていた。

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宇治野宗輝 ライブ・パフォーマンス 撮影:長谷川淳

入口すぐ、4階建ての製図棟は、原寸大の船の図面跡が残る造船所ならではの広いスペースである。ここでは3組のアーティストによるインスタレーションが行われていた。1、2階と広い吹き抜けの部屋、「Black Camber」では宇治野宗輝の「THE BALLAD OF EXTENDED BACKYARD」が設置された。

生活の中に存在する様々な家具や日用品で構成されたこの作品は、まさに現代の大量生産・大量消費社会を象徴している。鑑賞の楽しみは各々である。遠くから作品の大きさ・光・音による圧倒感を全身で感じるも一つ。近づいて細部を見ながらどんな風に音が生み出されているかを発見するのもまた一つ。さらに宇治野氏のライブパフォーマンスを鑑賞するのも一つであった。

3階では雨宮庸介・梅田哲也によるインスタレーション+ライブパフォーマンス「壁の間に卵を立てる」、そして4階にはクワクボリョウタ・梅田哲也によるインスタレーション「ほとんど事故に気づかない」が、それぞれ来場者を作品の持つ魅力的な異世界へと誘ってくれた。

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雨宮庸介+梅田哲也 「壁の間に卵を立てる」滞在制作によるインスタレーション+ライブ・パフォーマンス 撮影:長谷川淳

3階では26時間にわたって、作家を含む27名のパフォーマーによるパフォーマンスが絶えず繰り広げられていた。パフォーマー各々が独自の世界を作り上げる中で、その空間にいる自分も “鑑賞する” という行為を通して作品を作り上げている、自分までもがアートの一部であるような錯覚する。窓際に何気なく置いてあるりんご、壁を動かしている人間、窓から空へと延びる風船。全てが作品を構成していて、かつ何かしらの役割を持っているのであろうか。いつまで見ていても飽きない作品であった。

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クワクボリョウタ+梅田哲也 「ほとんど事故に気づかない」滞在制作によるインスタレーション 撮影:長谷川淳

4階への階段を上るとそこはまったく違う世界。3階が “動” なら4階は “静” の世界。夜になると会場は真っ暗になり、作品自体が放つ光が最も強調される。ブラックライトが映し出す、造船所に残る製図の線。蛍光に発色する線が交じり合う様は、昔この地で製図が行われていたことを私たちに教えながらも、今度はアートとしてその美しさで私たちを魅了した。

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