松原 慈

PEOPLEText: Mariko Takei

空間構成、内装デザイン、建築、現代アート、展覧会、インスタレーション、グラフィックなど、ボーダレスにその活動の領域を広げ、それら作品を展開する場所も国内外のあらゆる都市のあらゆる所。境界の何もない広い空を自由に飛ぶ鳥のように、地球を舞台に自由に行き来し、独自のクリエイションを展開する「assistant」。8月の終わりにスタートし、現在もDIESEL DENIM GALLERY AOYAMAの1階ショップにて、ひっそりと佇み呼吸しているインスタレーション作品「BOOJUM」を手がけた、「assistant」の松原慈(まつばら・めぐみ)氏にお話を伺った。

松原慈 with assistant
Photo: Sebastian Mayer (AEIOU)

メンバー構成を含む自己紹介をお願いします。

assistant」というスタジオは、2002年に私と有山宙君と須之内元洋君を中心に始めました。基本的にはその3人がプロジェクトごとに得意分野によって担当します。初期のプロジェクトには、GPS携帯電話を使った心理地図や、『休日の問題』という世界の問題を整理したカードなどがあります。携わるプロジェクトには建築設計、現代美術の展覧会からアーカイヴシステムのようなこと迄ありますが、フリー演技/設計/コンピュータなど、それぞれの専門性が異なるので、プロジェクトに合わせてお互いの力を加減して取り組みます。
最近は、プロジェクトの性質がさらに特殊になっていくときもあって、スタジオが、単純なメンバー構成を持つものなのかどうかよくわからない時もありますが、広がりを持ち始めています。

どのような活動をされてますか?また、現在進行中の活動を教えてください。

建築をベースにして、空間を設計したり、インスタレーションを制作したりしています。オンラインで発表されるものや平面的なものを作るときもあります。目の前に現れたきっかけを解釈してそこから表現を拡げるような活動を、普段はしています。
現在は、東京と北京でそれぞれ展覧会の企画があり、構想に入っています。また、住宅の設計が始まります。

DIESEL DENIM GALLERY AOYAMAで現在開催されている展覧会「BOOJUM」では、松原慈 with assistant とクレジットされていますね。

「BOOJUM」というインスタレーションのアイディアがふと頭に浮かび、展覧会を個人で行うことにしたのですが、インスタレーション作品の制作過程に「assistant」という自身のスタジオの存在が大きなサポートになっています。母親が自分の子どもに助けられるような感じです。あるいは兄弟姉妹の関係かもしれません。スタジオが始まってからしばらく経過した今となっては、スタジオは私そのものではありませんが、私がスタジオの一部として動くときもあれば、スタジオが私を支えてくれるときもある、という気がします。そういう形を取ることで、自分もスタジオも自由でいられるのです。スタジオに明確な定義や与えられた形というものはなく、スタジオというものに表現が集約されていくのとは逆に、そこから何かが広がっていくような考え方で始めました。今回のように、自身と自身のスタジオの関係は、そのときどきでお互いにとって、もっとも自由を享受できるよう変わってゆくと思います。

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