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松原 慈

PEOPLEText: Mariko Takei

展覧会の会場設計などの空間構成や、内装デザイン、建築、現代アート、展覧会、インスタレーション、グラフィックなどなど、ボーダレスにその活動の領域を広げてますね。表現方法が多岐に渡る中で、それぞれに共通して表現したいことはありますか?また、それぞれに、代表的な作品や活動をご紹介頂けますか?

全てに必ずしも共通に表現したいことがあるとは言えないので、同じことを繰り返さないように意識しています。少しでも油断すると、過去や繰り返しに簡単に引きずり込まれてしまうものだと思います。これからを含めた長い時間と拡がりの中で、もしかしたら共通性への気づきがあるかもしれませんが、注意や意識は散漫なもので、毎日の出会いや刺激で、考えもいつも動いているように感じます。その全体をまとめてしまうことはできません。私自身は、日々のことと制作の境目があまりはっきりしていないので、自分の時間を使ってひとつひとつ経験して想像して作っているということだけが、全てに共通しているし、大切にしていることのような気がします。

これまで、展覧会の空間をつくるというのはいくつか経験しました。最初のものは、ロンドンデザインウィークで発表された「Totoro House」です。

松原慈 with assistant
Totoro House, Vujj展示会空間設計, London, 2006 Photo: Carlo Draisci

スウェーデンの新しい家具ブランド「Vujj」が初めて展示会をするというので、その最初の展示会の空間を作りました。私たちにとっては、ロンドンから帰国した後、最初にふたたびロンドンに戻るきっかけとなったヨーロッパでの初めての作品発表です。スウェーデンの森の中で、サマーハウスがドロンと化けて森に散ってしまう、その瞬間を表現しています。

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Rock Garden, Vujj展示会空間設計, Milan, 2007 Photo: Fabian Svensson

翌年には、同じくミラノでの展覧会のためにミラノサローネで発表された「Rock Garden」を作りました。こちらは、スウェーデンの岩礁の風景に発想を得ました。

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Woven Marionette, DesignTide展覧会空間設計, Tokyo, 2007 Photo: Frosty

同じ年の秋、デザインタイド・トーキョーのメイン会場の一部を招待作家として制作することになりました。「Woven Marionette」と名づけた、真っ黒い編み物が天に向かって解けていくような空間です。

松原慈 with assistant
Translucent Passage, mellow fever展覧会空間設計, Galerie des Galeries, Galeries Lafayette, Paris, 2008 Photo: Marc Domage

今年の4月には、パリのギャラリー・ラファイエットで「mellow fever」というコンテンポラリー・アジアをテーマにした現代美術展覧会へ呼ばれ「半透明の街路」と名づけた空間を作りました。アジアの消え行く旧市街に発想を得て、大型トレーシングペーパーを幾重にも吊り、透き通った街路空間を表現しました。

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