インターフェイス展

HAPPENING

『そのローライズジーンズは許せないな』何かを指さす白い手の動く彫刻の下、小さなスピーカーから聞こえてくるアーティスト、トーマス・エドワーズの声が私をとがめる。

『何を見ているかわからないんだ』エドワーズの指差し彫刻の隣で、一ケ所に集められた複数の目がささやいている。その声の主は画家のスコット・ハチソンであり、それらは彼の描いた映像の目で、ギャラリーのどこに行ってもついてまわる。


「インターフェイス:アート&テクノロジー」展が、2月13日メリーランド州ベテスダのフレーザー・ギャラリーで開かれた。盛大なオープニングの夜、様々なアーティストが集まり、テクノロジーを使って彼らの作品を合わせた展覧会は注目の的となり、熱狂的なアートファンたちを魅了した。

オープニングの夜、客たちはアーティスト、デーヴィット・ページを中心とするバルティモアの、ギャラリースペースの中心を支配する巨大なマシンによる魅力的なパーフォーマンスに迎えられた。2年前に設立したトラウィックアート賞を最初に受賞したページ、彼の今回の作品は1年前に組み立てられ、「ホップスコッチ(石蹴り遊び)」と名付けられた。


“Hopscotch” by David Page

ワシントンシティ新聞社のジョン・メトカーフはその体験を説明した。彼によると、『金曜日の夜「インターフェイス」のオープニングでべセスダのフレイザ−ギャラリー内に居合わせた人々は、会話をかき消すようなエンジン音を発し移動する巨大な金属の仕掛けに、落ち着きをなくした。半分が精肉機械でもう半分がゴーカートの失敗作で作られた、そのスチールのモンスターを二人の拘束服を着せられた人間が動かすのだが、一人はホックから吊るされ、もう一人は車輪のついたカートに結び付けられていた。動きやすそうな黒い服を着た男が、ストップウォッチのついた道具を手にもち、そこを行ったり来たりする。彼はデイビット・ページ、43歳でコーコランカレッジオブアート&デザインの講師である。今回デザインしたマシンは、「ホップスコッチ」と名付けられた。展覧会に向け彼は、短い日程の中でその人間カートを完成させようと、プログラミングに5日間を費やした。ぎりぎりのところで、吊るされた人はカートに乗っている人の上に持ち上がり、手順を逆に繰り返し、自分自身のスイッチを切る仕組みだ。』


“Chatter” by Scott Hutchison

スコット・ハチソン は(ここ数年間)ペインティングと映像の間のジャンルを行ったり来たりしていた。この展覧会で彼は三つの作品を出展した。作品「チャッター」でハチソンは自分の口を様々な形に描いたひと続きにした映像作品をギャラリーの壁に投影している。『I don’t know』と、それは声には出さず見る者に言う。ハチソンによる二つ目の作品は誕生・進化・そしてやがておとずれる滅亡の記録映像であり、またアーティストの木炭肖像画ビデオ映像の隣には、最後の作品であるしわくちゃになった紙のデッサン、紙そのものがひっそりと展示されている。


Thomas Edwards and Scott Hutchinson

仲間のアーティスト、トーマス・エドワーズと共に、ハチソンはまた彼の様々な形の目を描いた12の作品を出展した。非常に珍しいリアルな方法で描かれた油絵が、新品のビデオケース〈その隙間から複数の目があなたが歩いていくのを“目”で追う〉の隣にある。そして彼らはエドワーズが12の油絵全てをビデオテープに記録したように、三つの探知機を使い、常にハチソンの複数の目が見物人を目で追うようにプログラムし、実行した。そしてときどき、彼の声があなたにささやく。


“Blame” by Thomas Edwards

『津波警報システムが十分ではないのはおかしいだろう』動作感知器によって知らされた幽霊の白い手のようなエドワーズのとがめるような声は叫び、見物人を責めるような指は注意を向け、指差した。そばを通る人誰に対しても容赦ない追跡は、エドワードの作品「ブレーム」による数ある非難の1つである。

ニューヨークのクレア・ワトキンズは、最近ヴァージニア州立大学を拍手喝采の中、主席で彫刻学士課程を卒業し、今回の展示は、彼女にとって大ワシントンDC地域における最初の晴れ舞台であり、コレクターと批評家、両方の関心を集めるため、モーターと磁力を使用した4つの彫刻作品を展示している。


“Wall” by Claire Watkins

ギャラリーで一番大きな壁に、2つの3部作と1つの2部作からなる3つの彫刻のアレンジを展示している。それらは銅板にインクとアクリル塗料でエッチングされ、壁に固定せずに、小さなモーターを隠すためのプラスチックの枠から投影された。隠されたモーターは小さな磁石を回し、磁石は、順番にピンと鉄のやすりくずをエッチングの表面で飛び跳ねさせたり動かす。

その光景にまるで催眠術をかけられているかのように魅了される。『生きているみたい』見物人のある女性はそうコメントし、首を伸ばしてエッチングの後ろに何が隠れているのか見ようとしている。彼女の作品の1つに、「パラサイト」と名付けられたものがあり、これにワトキンズは銅のやすりくずをひとつかみ円を描くようにちらし、海草のように波形にした。『生きている菌類のようでもある』通りがかった人が付け加える。


“Flock of Needles” by Claire Watkins

ギャラリーの一角で、四角い磁石、透明なプラスチックのブラケットから吊るされた四角い磁石がゆっくりと回転している。その作品「フロック・オブ・ニードルズ」の1つのアプローチとして、見物人は多数の針に注目し、目に見えない磁力、ギャラリーの壁と床の間を浮遊し、宙をダンスしたり移動したりするマグネットによる官能的で一度として同じ動きをしないダンスにひきつけられた。『その作品は雲の巣のように繊細』美術評論家のジェシカ・ドーソンはワシントンポストの中で書いた『そしてまるで魔法のようだ』と。

針のダンス作品から数段上がったところに、キャサリン・コーネリアスの最近のビデオ映像がiPodをつないだデジタルプロジェクターからひっそりと上映されている。スクリーン上に雲が浮かんでいるのが見え、それと同時にイヤホンから飛行機のエンジンの低いうなり音が聞こえてくる。コ−ネリアスはこの映像を使い、彼女が繰り返してきたテクノロジーの一連の研究を続ける。

ワシントンのアーティスト、アンドリュ−・ウォジアンスキーによる二つの大きな油絵がギャラリーの別の一角に展示されている。ある人が次のように尋ねた。『テクノロジーはこの従来のジャンルにどのようにあてはまるのか?』

『それはインターネットと携帯電話に関するものである』と、「Yellow Arrows」のウェブテクノロジーを使うウォジアンスキーが答え、メールとメッセージテキスト両方から、彼のペインティングに「Yellow Arrows」を通し、直接投函される。ダイヤルを回す人は電話し、ウォジアンスキーの作品に対する何百ものコメントを聞くこと(もしくはコメントを彼らの電話にダウンロードすること)ができる。『これは一般の人々からの直接のフィードバックだ。』

展覧会最後のアーティストは、二つの作品を展示しているフィリップ・コーンである。彼の描いた自画像に産み出されるテクノロジーに未来をかいま見ることができるかもしれない。二つのオーダーメイドのソフトウェアプログラムを使い、彼は二つの作品を絵を描くように組み合わせた。その作品の正面に立つと、作品に隠されたカメラが、何に基づくわけでもなく、多くの他のイメージと長時間その前に立っていた人たちを認識しなおし、組み合わせるためにあなたのイメージと始まりを記録する。

ときどきそのイメージは映った自分の透明なビデオ映像であり、ある時は、混乱するような混ざり合ったイメージがスクリーンを横切り、同じものが続くことはない。一度に再生されるイメージは、メモリーチップの処理能力が限られているので、コーンの自画像は彼の仲間がスクリーンの向こう〈もしくは店〉で記録する。

アートの世界、そしてテクノロジーの世界はこれからも一つ、いや同一のものになり続ける。

Interface: Art & Technology
会期:2006年1月13日〜2月8日
会場:Fraser Gallery
住所:7700 Wisconsin Avenue, Suite E, Bethesda, MD 20814, USA
info@thefrasergallery.com
www.thefrasergallery.com

Text: F. Lennox Campello
Translation: Miwako Nakazawa

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