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アンドレアス・ムルクディス

PLACEText: Kiyohide Hayashi

ベルリンのアートシーンを盛り上げるものは一体なんだろうか。

ふとそう考えると様々なものが思い浮かぶ。無数にあるギャラリー。質の高いコレクションを持つ美術館。ベルリンで制作を行うアーティスト。美術作品をギャラリーで販売するギャラリスト。そしてそこから作品を購入するコレクター。もちろん作品の販売を目的としない非営利の展示スペースや、アーティストの作品を展覧会で紹介するキュレーターも非常に重要な存在だ。

このようなベルリンのアートシーンの登場人物に是非加えたいものがある。デザインされた様々な品々を取り扱うセレクトショップ「アンドレアス・ムルクディス」だ。そこではギャラリーよりも美しくものを見せ、販売を行っている。何より重要なのは一つの領域に留まらないその多様性であり、それはベルリンのアートシーンに大きな影響を与えている。

アンドレアス・ムルクディス
Andreas Murkudis

ギリシャにルーツを持つドイツ人、アンドレアス・ムルクディス。彼は同名の店「アンドレアス・ムルクディス」で、彼自身が身の回りに置きたい品物を販売している。店舗を構えるのはベルリン中心部にほど近いポツダマー通りという大通りの近く。近年多くのギャラリーがこの通り沿いに集まり、下町的雰囲気が漂う街並は変りつつある。

その中心となる場所は新聞社の印刷工場として使われていた建物だ。かつて新聞を印刷していた広大なホールにはギャラリーが入り、美術作品を展示している。アンドレアス・ムルクディスもその広大なスペースに店を構え、服や家具といった商品を空間の中に広げている。外から窓越しに店内を眺めると、高い天井に白い壁、そして空間を生かして置かれた商品が見える。一見して展示空間に見えるため、ギャラリーと間違えたのは私だけではないだろう。

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Nymphenburg

建物に入り、並べられた品物を眺めると、その豊富な品揃えにまず驚かされることになる。ヨウジヤマモトやジル・サンダーの服、そしてマルタン・マルジェラの靴などが目に入る。その他にもマフラーからベルト、サングラスやアクセサリーに至るまで一流ブランドのものが用意されており、ファッション用品の専門店と言っても差し支えない。しかし服飾用品だけでなく様々な領域の取り揃えられたものが訪れたものを魅了する。

店内の中心には棚を組み合せた台が見える。そこに並ぶのは小さな美しいものの数々。特に人目を引くのは磁器のオブジェだ。260年の伝統を持つドイツの磁器ブランド「ニンフェンブルク」のもので、伝統に束縛されることのない現代的なデザインには、新しいものを生み出そうとする意識を強く感じることができる。

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