NIKE 公式オンラインストア

ライムンド・アブラハム

PEOPLEText: Hans Hoger

一方、小さなトイロルの街の中でも歴史色が濃い場所に建てられたこの建築物は、偶然にもニューヨークの物と同一のプロポーション(幅7.6m、奥行き36m)で、街の中心部に続く通りに位置する。このビルのデザインは2つの正面とビルの両側からの銀行へのアクセスが可能だ、ということだ。

メイン広場に向かってデザインは付近の住宅地の風景と融合し、軒の高さと真横にきれいに並べられた入り口付近にも細かな配慮がなされている。しかしそれは、無理にその地域の風景に似つかせようとしたわけではない。白く下塗りされた南側の正面は窓がなくても自然光が入るように細長いまっすぐに伸びた軸が配置されている。


Bank at Lienz Drawing, An architectural sculpture in a medieval area (1993-98)

北側には似たような建築風景がないかわりに、三角形のラインが近隣の教会から対角線上に、そして隣の部屋に自然光が燦々とそそぐ左右対称の採光窓を巨大なプリズム場の空間に作った。


Bank at Lienz, An architectural sculpture in a medieval area (1993-98) Photo: Heinz Grosskopf/Domus

2つの異なった正面は、ビルのデザインと伝統的な赴きのある屋根がある上の部分両方からなる構造の一部であり、そこからは動きの中にボリュームの連鎖も見受けられる。ボリュームのある概観をコーディネートし融合したこの構造は、木にはめられた天窓で覆われた北側、上階に管理人室があり、白い下塗りの層があるコンクリートで覆われた南側で作られている。


Bank at Lienz, conference room, An architectural sculpture in a medieval area (1993-98) Photo: Heinz Grosskopf/Domus

一見見るとビルの内側は低く狭い感じがするが、ビルの上部からも一階からも差し込む自然光のおかげですぐに開放感を感じさせる。アブラハムはボリュームのある環境を、たとえば2階で会議をする時に利用できるように2つの高さのある空間を屋根の上に作り珍しいインパクトを付けて完成させた。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE