ケルン国際家具見本市 2003
このフェアに対しては、期待はそれほどされていなかった。というのもドイツ市場の低迷が、ここ2年ぐらい続いているからだ。しかし、ドイツ製品を集めたフェアの真髄にはまだまだ陰りは見られない。多くのイタリア企業がドイツ製品の扱いを取り止める流れがありつつも、このフェアは新製品を全面的にアピールし、前進するのみという姿勢を崩していない。そしてこれら製品は、このイベント全体にポジティブな変化をもたらす動きへとつながっているのである。
まず目につくのが、その空間。アバンギャルドなデザインの展示に適用するように作られており、デザイン商品を扱う企業それぞれにセクションが与えられている。アバンギャルド・デザイン・センターでは、アイディアル・ハウス・ケルンというプロジェクトが行われており、若手デザイナーのコンスタンチン・グルシックとカリム・ラシッドのデザインによる家が紹介されていた。
アイディアル・ハウスの存在というものは、直接的ではないがこのフェアの意図するところに根付いている。それは、フェア自体が、緻密なセンスで作られた家具だけではなく、インテリアデザインとしてのリファレンスとしての機能を果たしたい、というものだ。また、アバンギャルドな展覧会空間としての機能もしっかりとしており、ラグ、カーテン、オブジェあるいは直接ペインティングすることで、空間に花を持たせたりというアイディアも感じられた。
またキッチンが紹介されていることも特筆すべき点で、このことで、このイベントが他とは違うものである、というアピールがなされているのである。
ヨーロッパの他の地域ですでに行われたデザインフェアで見た作品も展示されていたが、今回の会場では、その広さを利用し、デザインを勉強する学生や若手デザイナーの作品の発表が行われていた。「スピンオフ」と題されたその展覧会は、パビリオン4と11で行われており、有名デザイナー達からも高く評価されている新進気鋭のデザイナーの自信作が紹介されている。
今回のディスプレイのテーマは、実験的なデザインの世界を結合するというもの。どの作品も、デザインとしてだけではなく、インスタレーションとしてもかなりの傑作ばかり。プロジェクトを自らリサーチさせ、様々なテーマのワークショップを行うことで、デザイン学校では生徒の育成を促している、という話が、意見交換の場では行われていた。
The International Furniture Fair of Cologne 2003
会期:2003年1月13日(月)〜19日(日)
会場:Cologne Fairgrounds
住所:Koelnmesse GmbH, Messeplatz 1, Colonia
TEL:+49 221 8210
https://www.imm-cologne.de
Text: Loredana Mascheroni
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Loredana Mascheroni