「マハト・クンスト(アートを作る)」展

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

2013年4月ベルリンに新しい美術館が誕生した。その名前は、ドイツ銀行クンストハーレ。この新しい美術館は注目を集めると同時に多くの期待を背負っている。なぜなら、閉館した美術館に代わる役割を求められているからだ。その美術館とは多くのアーティストをベルリンで紹介してきたドイツ・グッゲンハイム美術館。ドイツ銀行クンストハーレはその建物を使用しており、まさに正当な後継者でもある。

周囲の期待が高まるなか、新しい美術館での展覧会が開催された。ただし普通のものとはかなり異なっている。展示期間は僅か24時間。そして展示されたのは200以上もの平面作品。ドイツ銀行クンストハーレは新しい美術館での展示作品を一般に募集し、アマチュア、美大生、そしてプロのアーティストからも作品を集めた。つまり誰もが展示できる展覧会を行ったのだ。

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Photo: Mathias Schormann © Deutsche Bank KunstHalle

公式開館前のイベントとして開催された初の展覧会の名前は「Macht Kunst(アートを作る)」。新しいアートが生まれるであろう場には多くの人が詰めかけた。ベルリン中心部にある会場へと向かうと、建物を取り囲む人の列が見える。夜の11時をまわり入場を待たされるにも関わらず、多くの人が寒さに耐えながら待っている。

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Photo: Mathias Schormann © Deutsche Bank KunstHalle

会場の中へと入り展示スペースを見回す。かつて世界的な巨匠の作品が並んだ場所には、壁を埋め尽くす無数の作品が見える。展示されているのは油絵、水彩画、コラージュ、写真など様々なもの。卓越した技術を見せる作品もあるが、技術的に未熟な素人風のものが多く目につく。印象派風や表現主義風といった美術史に残る作品を彷彿するものもあり、独自性を見つけることは難しい。個々の作品の質を考えると以前の美術館の展示と比較することすらためらってしまう。

では一体ドイツ銀行クンストハーレは何を行おうとしているのだろうか。そのためにもクンストハーレの開館までの流れを簡単に追うことにしよう。

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ステファン・マークス
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