アドリアン・M/クレール・B
PEOPLEText: Aya Shomura
デジタルアートや舞台芸術の分野で活躍するアドリアン・M/クレール・Bを、ご存知だろうか。彼らのステージパフォーマンスは、建物の壁に投影する単なるプロジェクションマッピングとはまるっきり異なる。デジタルの幅広い可能性を感じさせるのだ。現に、彼らのために開発・カスタマイズされたITツールにより、二人は実世界と仮想世界を組み合わせ、舞台でのパフォーマンスから展示会まで、様々な形の芸術を生み出している。それは技術的、そして芸術的挑戦の核心に人間の肉体を据え、今日の技術ツールを生かしているもいえる。想像力をかきたてる娯楽と享楽を基盤とした視覚的言語を通じて、錆びることのない詩的芸術を創出しようという試みである。それでは、美しい視覚言語の世界を覗いてみよう。
Adrien M / Claire B, © Romain Etienne
自己紹介をお願いします。
こんにちは、私たちは「アドリアン・M/クレールB」という、2004年からデジタルアートの分野で活動するフランス人ユニットです。
クレール:アドリアン・モンドーは、 学際的な芸術家であり、コンピュータの専門家でもあり、ジャグラーという顔も持っています。彼の作品は、ジャグリングという芸術とコンピューティング技術の革新が交わる点において、モーションをつきつめ、その可能性を探ります。2004年に、作家「アドリアン・M」として活動を始めました。私たちが組んだのは2011年のことです。それが、「アドリアン・M/クレール・B」の始まりでした。
アドリアン:クレール・バルデンヌはビジュアルアーティスト、グラフィックデザイナー、そして舞台デザイナーです。パリの美術学校エコール・エスティアンヌと国立高等装飾美術大学(ENSAD)の卒業生です。視覚的記号と空間の繋がりに焦点を当て、現実と仮想の往来を模索します。
“Un point c’est tout”, performance-conference, 2011, © Adrien M / Claire B
“XYZT, Les paysages abstraits”, Nuee Mouvantes, exhibition, 2011, © Laurence Fragnol
なぜお二人での活動を始められたのですか?また、なぜ、表現方法としてデジタルアートと舞台芸術を選ばれたのですか?
クレール:私たちが出会ったのは2010年、アドリアンが様々なアーティストの交流・協働を目的として開いた、「ラボ」というリサーチプロジェクトで出会いました。時が経つにつれ、共に何かを作り上げなければならないということが明白となっていきました。私たちは同じ目標を持っていたから。それは、デジタルとリアルのリソースを繋ぐ、強い架け橋を作ることです。そして、バーチャルなものをリアルの延長へと変えたかったのです。私たちは、デジタル技術が新しい仮想世界を構築し、新たな演出方法の可能性をもたらす媒体であると信じています。
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