デザイナート トーキョー 2023

HAPPENINGText: Taketo Oguchi

六本木エリアでも数多くの展示が行われていた。東京ミッドタウンでは、「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに、2007年から開催しているデザインの祭典「DESIGN TOUCH」が開催。これはデザインの魅力や可能性を誰もが身近に体感できるイベントで、本年は、「いざなうデザイン-Draw the Future-」をテーマに、デザイナート トーキョーからは国内外の第一線で活躍する3組のクリエイターの作品を展示。


田渡大貴「Nature or Nurture」(東京ミッドタウン)© Nacása & Partners

実験的なものづくりを続ける若手クリエイターグループ・マルチスタンダードのメンバーでもある田渡大貴は流木を素材に、そのテクスチャーを活かし展開した家具シリーズを、守本悠一郎は、電力を必要とせず、周囲の光を集めることで光を感じることができる照明「NISSHOKU」を発表。「UNDER 30」に選出された、有村大治郎・コエダ小林・時岡翔太郎の3名によるデザインスタジオ「21B STUDIO」による、オフセット印刷機の廃インク清掃で使用した不織布を用いたプロジェクトを展示していた。


大越智哉「OBJECTRUM」 ※参考図版

六本木に2022年5月にオープンしたカフェ「コモン」では、大越智哉の作品を展示。展示作品の「OBJECTRUM」シリーズは、廃木材を一点一点手作業で加工しており、原始的で本来的に形が持つ神秘性と意味性を追究し、そこから得た知見をもとに制作されたという。「作品があることで暮らしの空間が非日常になるオブジェクト」をコンセプトとしており、カフェの空間にポップでカラフルな色どりを与え、確かな存在感を感じさせていた。


鈴木舞個展「よしづくしを組む」(JIDAデザインミュージアム)© Nacása & Partners

アクシスビルの4階に位置するJIDAデザインミュージアムでは、「UNDER 30」の鈴木舞が個展「よしづくしを組む」を開催。鈴木は、日本古来の「粋」を未来へ生かすクリエイティブレーベル「生粋」を主宰しており、本展では、伝統工芸「組子」の技術を現代に受け継ぐプロジェクトとして、3Dモデルなどのテクノロジーを組み合わせ、ドレスや照明を含むライフアート作品を展開した。

天候にも恵まれた秋晴れの中開催された今年のデザイナート東京は、アフターコロナの新しい日常を感じさせる、未来へ向けての価値観や、新しい提案に満ちた意欲的な展示が数多く行われていた。次回の開催はすでに2024年10月18日からの10日間に決定している。早くも来年のイベントが楽しみだ。

DESIGNART TOKYO 2023
会期:2023年10月20日(金)〜29日(日)
エリア:表参道・外苑前 / 原宿 / 渋谷 /六本木・広尾 / 銀座 / 東京駅周辺
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会
https://designart.jp/designarttokyo2023/

Text: Taketo Oguchi
Photos: Courtesy of DESIGNART TOKYO

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