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デザイナート トーキョー 2021

HAPPENINGText: Taketo Oguchi

注目の若手クリエイターグループ、マルチスタンダードが、実験的なものづくりを続ける同世代の作り手を招集し、渋谷の廃ビル1棟を占拠し「1-15-22 Apartment」を開催。共同住宅であるアパートメントに、異なる分野で活動する作家が入居するというコンセプトのもと、4フロアに分けて展開した。


「1-15-22 Apartment」より MULTISTANDARDの作品「chopping」(セルモビル)© Nacása & Partners

マルチスタンダードからは、薪割りによって木の個々が持つ歪みやうねりを表出させる「chopping」を展示。通常、家具などで使用される木材は水平垂直な面に整え加工されるが、そこに原始的な薪割りを制作プロセスに加えることで、「木」としての生きた姿を露出させている。それらを背合わせにして立てることで、スツールやサイドテーブルなどとして使用できるオブジェクトを制作した。


「1-15-22 Apartment」より MULTISTANDARDの作品「oozing」(セルモビル)© Nacása & Partners

また、新作「oozing」では、ものづくりにおいて欠かせない、接着という行為に注目、普段「存在しないように振る舞う」ことを要求される接着剤を装飾として格上げさせたオブジェクトを発表。オブジェクトの表面には、接着時に滲み溢れる接着材が装飾として表現されている。素材の立場をひっくりかえしたこの作品も、普段当たり前に思っている固定概念をゆさぶり気付きを与えるものであった。


「1-15-22 Apartment」より 企画展「LOOK INTO THE CURVE~創造の地平を覗く~」(セルモビル)© Nacása & Partners

また、国内外で活躍する新進気鋭の作家5名による企画展「LOOK INTO THE CURVE~創造の地平を覗く~」でも、銅板をキャンバスとし、無意識的にあらわれる線や点のドローイングを七宝で描く山口ひかりを始め、素材や制作プロセスに独自のアプローチを行った様々な作品が発表されていた。中でも、パンの原料である粉と水で、生地をこねて発酵させ、成形、そしてオーブンで焼いた器や花瓶、皿などに展開したpan_objectなど、遊心のあるプロダクトもあり来場者を楽しませていた。

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ステファン・マークス
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