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平尾成志

PEOPLEText: Editor

即興でパフォーマンスを行いながら、常識を覆す盆栽をつくり続け、国内外から評価の高まっている異端の盆栽師・平尾成志。日本の伝統文化を継承しながら、盆栽の新たな魅力を伝えるべく世界で文化交流を積極的に行っている。今年10月下旬に開催される「DESIGNART TOKYO 2019」(デザイナート・トーキョー)では、kolor 南青山で作品展示を行う予定だ。


© 平尾成志

まずはじめに自己紹介をお願いします。


成勝園 園主の平尾成志(ヒラオマサシ)です。1981年、徳島県生まれ。京都産業大学 陸上競技部時代に訪れた東福寺・方丈庭園(現 本坊庭園)に感銘を受け、日本の文化を継承することを志したいと思うように。

大学4年生の時に東京で盆栽を目にし、盆栽に興味をもち、卒業と同時に埼玉県の加藤蔓青園に入門しました。5年間の修行を経て、海外へ挑戦。様々な国の盆栽と人にふれ、新しいアイディアと盆栽の見せ方を日本で展開するようになりました。

現在は、2016年にさいたま市に「成勝園」をオープンし、そこを拠点に盆栽のパフォーマンス、ワークショップ、空間演出、講演活動などを行い、盆栽の普及と後継者育成に取り組んでいます。

お師匠の加藤三郎氏は世界的に名の知られた盆栽界の重鎮と存じますが、ご自身に影響を与えているものがあるとすれば何でしょうか?


弟子入り期間中は、加藤三郎が海外の盆栽界でどれだけの重鎮か正直わかりませんでした。加藤三郎が亡くなり、自分が海外に挑戦するようになった時、どこで加藤三郎の話をしても、誰しもが加藤三郎を知り、尊敬していました。この時に、初めて加藤三郎の残した功績に驚きましたし、違う形で超えたいと感じました。

加藤三郎は、日本の盆栽業界も育て作り上げた人物です。ただ僕が弟子入りしていた時の盆栽業界は間違った方向に向かっていると加藤三郎に話をした時は、本気の喧嘩になりました。その時僕は「自分の方法でこの業界を変えてやる」と言ったことを今でも覚えております。正直、自分の思いを全て出せたのが加藤三郎だったので、今でもその言葉に責任を持って活動に取り組めているように思います。


成勝園 © 成勝園


成勝園について教えてください。

成勝園は盆栽を作る、「ラボ」であることはもちろんですが、僕が海外を周り「いいな」と思ったことが詰まっています。例えば、日本では盆栽園は敷居が高いと一般の方には思われがちですが、海外の盆栽園で見たワークショップはお酒を持ち寄り、みんな楽しみながら時間を過ごしていました。

ワークショップに参加するということは、貴重な休日を使って参加してもらっているということなので、僕もそういう楽しめる空間にしたいと思い、バーを併設したり、盆栽園内にベンチをおいたりと、ゆったりと盆栽を見て楽しんでいただけたらと願って作った空間です。

たまに盆栽園でイベントを行うのですが、盆栽を育てることはもちろん、見たこともない方々が集まります。その楽しい空間の中で盆栽を見ると、盆栽の印象はよくなり、参加者が発信者になってもらえます。


2016 Bonsai Without Borders Global Summit, China

国内外でライブパフォーマンスを行っていますが、日本と海外でオーディエンスの反応に違いはありますか?


ライブパフォーマンスに関していうと、同じような反応をいただいているように感じます。ただ、盆栽のことに関しては、日本人の方はまず「樹齢」「値段」を聞き、数値化し対象評価をするように感じますが、海外の方はまず「美しい」と絶対評価してから木の「樹齢」を聞いて来るように感じます。

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