ガウディとサグラダ・ファミリア展
HAPPENINGText: Alma Reyes
ガウディは、釣り合いの法則を通して幾何学と放物線形状を導いた。彼は放物線を逆さにすることで、“釣り合いのとれたアーチ” ができることを証明した。展示された模型では、「逆さ吊り実験」という彼のユニークなコンセプトが示されている。糸の両端を固定し、垂らしてできた下向きの逆アーチに、材料の重さを計算したおもりをさげて合理的な形を探る実験で、ガウディはこの実験を撮影した写真を上下逆転し、その上に彩色をしてイメージを構想していた。
《コローニア・グエル教会堂、逆さ吊り実験》(右側は部分模型)1984-85年、西武文理大学 Photo: Alma Reyes
彼はまた、教会内部の高い丸天井や柱を、幹が枝分かれした樹木に見立てた双曲線を採用した。ガウディは『自然界には直線や鋭い角はない。したがって、建物には直線や鋭い角があってはならない』と主張した。それゆえ、彼は曲線を多用し造形を行った。彼はまた、柱の数に意味を持たせるなど、多くのデザインに数学を用いた。
《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:鐘塔頂華の模型》2005-10年、制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室、サグラダ・ファミリア聖堂 Photo: Alma Reyes
展覧会では、聖堂の塔、門、窓の装飾、彫刻の模型が数多く展示され、ガウディがいかに巧妙に自然、幾何学、数学、歴史の豊かな融合を成し遂げていたかが検証される。
《サグラダ・ファミリア聖堂内観》 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família
光もまた、ガウディにとって重要なデザインの役割を果たした。NHKが撮影した映像は、ステンドグラスから放たれる光の優雅な動きと戯れを見事に捉えている。ガウディは朝日を反射する青い色調をイメージし、それが午後の太陽の暖かいオレンジや赤の色調へと徐々に変化していく。全体的な効果は、磨き上げられた床と柱に煌めき、内部の輝きが天に向かって昇っていくのを感じることができる。
1926年にガウディは路面電車にはねられ、悲劇的な死を遂げた。ガウディは、サグラダ・ファミリアを完成させるために、後世の建築家たちを突き動かした驚くべき遺産と原動力を残した。その結果、サグラダ・ファミリアは、後世の建築家たちによって、ガウディが思い描いていた聖堂を建設し続け、完成の時期が視野に収まるまでになってきたのである。
ガウディとサグラダ・ファミリア展
会期:2023年6月13日(火)~9月10日(日)※会期中に一部展示替えあり
開館時間:10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(但し7月17日は開館)、7月18日(火)
会場:東京国立近代美術館(MOMAT)
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://gaudi2023-24.jp
Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado