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大竹伸朗展

HAPPENINGText: Alma Reyes

大竹伸朗は現代日本を代表するアーティストとして活動しており、さまざまな素材や色、形のものを用いて作品を創作してきた。錆びついた廃品、色あせた雑誌の表紙、新聞の切り抜き、古びた白黒写真、看板、ポスター、電子機器、レコード、ガラクタの寄せ集め… 大竹はそういった物を光や音、匂いと融合させ、それらは夢や記憶として結集する。絵画、印刷物、素描、彫刻、製品、絵本から、映像、音、巨大なインスタレーションまでを展示した「大竹伸朗展」が、東京国立近代美術館で2月5日まで開催されている。


大竹伸朗《武蔵野美術大学芸術学部油絵科卒業制作展の為の自画像》(1980年) Photo: Alma Reyes

今回の大竹伸朗展では、大竹の40年を超える創作活動の中からおよそ500点の作品が展示されており、16年ぶりの大回顧展となる。年代順での展示ではなく、「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」という7つのテーマに基づいており、この特別な構成によって大竹の創造的で多様な作品世界へ没入できる。


大竹伸朗《東京—京都スクラップ・イメージ》(部分)(1984年)公益財団法人 福武財団 Photo: Alma Reyes

大竹はかつて、『まったく0ゼロの地点、何もないところから何かをつくり出すことに昔から興味がなかった』と述べている。大竹の芸術においての哲学は、既成の素材や過去に見つけたものを用いることの上に成り立っており、それは大竹の「既にそこにあるもの」というテーマにも表れている。1980年代初頭にデビューして以来、大竹は一貫して、日本の戦後期から高度経済成長期に起きた劇的な変化に突き動かされてきた。その時代には社会運動、性革命、アメリカのポップカルチャー、自由の希求、平等や女性の権利が螺旋のごとく渦を巻いたが、それは大竹の作品に顕著にあらわれており、執拗なエネルギーで沸き立っている。24歳の時に大竹はロンドンでサウンド・パフォーマンスに参加し、その3年後にはアメリカのフィラデルフィアのギャラリーで美術作品を公開した。その後数年間で大竹は世界中で数多くの個展を開催し、2013年の第55回ヴェネチア・ビエンナーレに参加したことで完全に認知された。


大竹伸朗《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》(2012年)Photo: Alma Reyes

最初のセクション「自/他」では、大竹の形成期を見ることができる。セクション内の約50点の作品が、コラージュ、自画像、アバターや魅惑的なイメージに凝縮されていた。本展で最大のインスタレーション《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》(2012年)は、屋根に小舟が乗った小屋と赤く塗られたトレーラーハウスがセットとなった作品である。どちらにも無数のオブジェがぎっしりと入れられており、見る者を困惑させる。年代物のポスターや新聞の切り抜き、チューブ絵の具、カセットテープ、自転車のタイヤ、ストーブやヒーター、ネオンサイン、ギター、スクラップブック、他にも想像を絶する種々雑多な品物が、音とビデオ映像が流れる中に詰まっていた。

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