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ガウディとサグラダ・ファミリア展

HAPPENINGText: Alma Reyes

また本展では、19世紀の建築復興が、ネオ・グレコ、ネオ・ロマン、ネオ・ゴシック、ネオ・ルネッサンス、ネオ・バロックといった歴史的な時代をどのように活性化させ、ガウディがそれらを自身の建築思想と調和させるきっかけとなったかを説明している。


第3章「サグラダ・ファミリアの軌跡」展示風景より《降誕の正面:塑像断片など》 Photo: Alma Reyes

第3章「サグラダ・ファミリアの軌跡」は、1866年に創設された「聖ヨセフ信心会」のメンバー、ジュゼップ・マリア・ブカベーリャが、教会の建設を計画したところから始まる。本章では、資金不足と戦争によって何度も中断され、困難に見舞われた聖堂の計画案の変遷を、残された写真と模型をもとに明らかにする。ネオ・ゴシック様式の要素(アーチ窓や飛梁(とびばり)など)から、放物線アーチや螺旋状の円柱など、その後の数年間でいくつかの変更が加えられた。


《サグラダ・ファミリア聖堂、身廊部模型》2001-02年、制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室、西武文理大学 Photo: 後藤真樹

ガウディは、サグラダ・ファミリア聖堂の内・外観に聖書の表現を注入することによって、生命と光の神殿という彼のビジョンを膨らませた。展示されている図面は、聖堂の全体的なレイアウトを十字架の形で表現している。降誕の正面、受難の正面、栄光の正面という3つの壮大なファサードは、渦巻くように埋め込まれたトカゲ、鳥、ツタ、柱を支えるカメ、塔に彫刻された様々な果物のモチーフなど、すべて宗教的なシンボルと自然の中の無数の要素で満たされている。『自然は私の師だ』とガウディは言う。ガウディの自然への関心は、植物、岩、樹木、自然環境を細部まで観察することをから芽生えた。


外尾悦郎《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:歌う天使たち》サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面に1990-2000年に設置、作家蔵 写真提供:株式会社ゼネラルアサヒ

スペインに45年以上住みながら、その優れた作品で世界的に知られる日本人彫刻家、外尾悦郎は、ガウディが自然の要素を重ね合わせた降誕の正面を完成させた。展示されている写真で、葉、花、亀、サンショウウオ、ペリカン、昆虫、そして白い大理石の鳩に囲まれた巨大な生命の樹で飾られたブロンズとガラスの扉など、彼のデザインを紹介している。彼は、伝道者たちの塔に怪物などをかたどった彫刻を彫り、天使、音楽家、歌手、子供たち、そして聖堂の塔を戴く果物籠の彫刻も彫った。

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