岡本光博

PEOPLEText: Aya Shomura

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「Art Fair Sapporo 2015」, クロスホテル札幌, 1407号室, eitoeiko(東京), Photo: Erika Kusumi

同じくアートフェア札幌 2015に出品頂いた「SUHAMA / Recycling Kills the Copyright」(洲浜/リサイクリング・キルズ・コピーライト)についてもご説明をお願い致します。作品を通して”期待する反応”というのはあるでしょうか?

「リサイクル」というこの使い捨てのモノに溢れる社会ではとても大切な行為において、エグい著作権ビジネスはどこまでその権利を行使できるのだろうかと。源氏系武家の末裔として、敵将の首を刈るというのは一つの使命でもあり、ミッキーマウスは間違いなく著作権界の王様ですから。ただ、いくら刈ってもきりがないし、どれも微妙に顔が違っており、まるで影武者しかいないような…。あと、「洲浜」は岡本家の家紋であり、奇遇にもミッキーマウスをひっくり返したようにも見えます。

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右:「SUHAMA / Recycling Kills the Copyright」岡本光博, 2014年〜, リサイクル品(ぬいぐるみ), がま口, 左:「誰ヶ袖図」福田美蘭, 2015年, パネルにアクリル絵具, 展覧会「ディズニー美術」, KUNST ARZT(京都), 2015年, Photo: 澤田華

2015年に企画なさった「ディズニー美術」のコンセプトを教えて下さい。

「ディズニーには絶対に触るな」との美術関係者が多いので、触ろうと。それに現在の有名なキャラクターの相当数はディズニー社の管理下なので、これは問う必要があると。今後、息苦しいですしね。結果、ディズニー社はどこかのブランドのように私を「自称美術家」扱いすることも、クレームもなかったです。今のところ。逆に言えば、美術館や画廊という表現の場とそうではない著作権侵害をきちんと見極めている会社と言えると思います。黙殺するということもある意味社会貢献だと思います。逆の経験者からすれば。ただ、この試みは著作権世界の息苦しい状況に小さいながらも風穴を開けたとは思います。このミニカタログをバイブルに挑戦する企画者が続いてくれることを期待しています。

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「ディズニー美術」展図録, 2015年

その企画図録のなかで、大久保美紀(パリ第8大学非常勤講師)氏が岡本さんのことを「日本で最も好戦的な(militant)アーティストの一人だと思う」と紹介なさっています。岡本さんが社会に向き合う際に感じているアートの可能性や、作品制作時に大切にしていることを教えて頂けますか?

私が大切にしているのは死者の視点です。殺害予告された台湾の日本統治時代の神社復元プロジェクトがやり切れたのも、沖縄タイムスに酷評された「赤絨毯」プロジェクトも、そして今回の「モレシャン」もです。

現在注目している、または気になっていることは何でしょうか?

テロです。2015年1月のパリの展覧会(展示を提案した10作品は全て却下)の際にたまたま宿泊したホテルはまさに襲撃され表現者が殺された新聞社の近所だったこともあり…。

最後に、今後の予定を教えて下さい。

まずは2016年1月16日に青山ブックセンターで、「アウトを言い渡されたアート」というトークイベントがあります。お世話になっている作田知樹さんと今回はじめて絡ませてもらうチン↑ポムの稲岡求さんとのトークです。そして「eitoeiko」さんでは、2016年9月10日から10月8日に工藤健志さんのキュレーションで個展「69(仮)」 を開催します。このタイミングで、これまでの1,800点ほどの作品から69点をセレクトした本を刊行予定です。ウェブ上では見せられない作品(案外ウェブって危険なので)とかもあるので、全て袋綴じでもいいかなと。なにかコンビニのエロ本みたいですが(笑)。ちなみに過激な作品ばかりではないですよ。よろしくお願いします。

岡本光博 × チン↑ポム 稲岡求 × 作田知樹「アウトを言い渡されたアート ー社会に切り込むアーティストたち。アートを前進させるには。」
日時:2016年1月16日(土)18:00〜20:00(17:30開場)
会場:青山ブックセンター本店内 大教室
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
定員:110名
料金:1,944円(税込)
TEL:03-5485-5513(青山ブックスクール)

Text: Aya Shomura

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