若手アーティストのための国立美術館賞 2011
ドイツには「若手アーティストのための国立美術館賞(Preis der Nationalgalerie für junge Kunst)」と呼ばれる若手アーティストに授与される賞がある。2年に一度贈られる賞の対象となるのは、国籍を問わず、ドイツで活動する40歳以下のアーティスト。賞にノミネートされたアーティストはベルリンのハンブルガーバンホフ現代美術館で作品が展示され、受賞者にはドイツの現代美術を対象とする賞としては最高額の40,000ユーロが授与されることになる。
Preis der Nationalgalerie für junge Kunst, Hamburger Bahnhof in Berlin. Photo: David von Becker
2000年から始まった歴史が浅い賞であるにも関わらず、過去にはオラファー・エリアソン、ダニエル・リヒター、ヨン・ボック、ティノ・セーガル、モニカ・ヴォンビチーニ、ダン・フォー、オマー・ファストといった現在国際的に活躍するアーティストが賞にノミネートされてきた。つまり本賞は今後確実に活躍するアーティストを取り上げるといっても過言ではなく、アート・ワールドの未来を先取りするものと言えるかもしれない。
Cyprien Gaillard, Preis der Nationalgalerie für junge Kunst,Hamburger Bahnhof in Berlin. Photo: David von Becker
第6回目となる2011年の賞では多数の候補者の中から選考された結果、キティー・クラウス、クララ・リーデン、アンドロ・ウェクア、シプリアン・ガイヤールと国際色豊かな4人のアーティストが賞にノミネートされ、最終選考を経てシプリアン・ガイヤールにその栄誉は与えられた。
今回はドイツから世界へと向けられて発信された前途有望なアーティストの紹介と共に、賞に合わせて開催された展覧会について報告をしたいと思う。
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