バーニング・マン 2013
HAPPENINGText: Isao Nishiyama
気の遠くなるような道のりから解放されたブラックロックシティの新たな住民たちは歓喜の雄叫びを上げ、既存の市民より熱い歓迎を受ける。酒や食べ物を分け与えられたかと思うと、鞭打ちによる祝福を受ける。通りを歩けばキャンプに招き入れられ、砂漠の厳しい熱線や夜の寒さから一転、居心地の良い彼らの住まいの中で、まったりとした時間を楽しむことになる。
特に僕らが良くしてもらったのがオレゴン州から大きなRVで参加していたパキスタン出身のザ・ハとサイードの二人。毎日キャンプの前に座り、通りかかる通行人に声をかけては、ありったけのココナッツジュース、ビールやテキーラを振る舞う。大企業向けのシステム開発をしているという二人はバーニング・マンへは4回目の参加という事で砂漠での生活も板についている。彼らのキャンプの横には特設のステージがドーム型のテントの上に備え付けてあり、気まぐれに開催されるライブも手伝い常にいい気分のバーナー達で賑わっていた。僕らも再来月ポートランドに行くことにしていたので、彼らの家へ遊びに行くこととなった。
国籍や人種は意味を無くし(話が深まれば逆に強い意味を持つ)、この場所に共にいることを喜び快感を求めひた走る、かくも暖かく汚らわしい異世界で過ごす1週間。キャンプを渡り歩き、多くのバーナーと交流を交わすも良し、大音量のスピーカーの前で朝まで踊るも良し、一夜だけの関係を持つも良し。倒れ痙攣を起こす者、仲間とはぐれ明け方のプラヤを彷徨う者。ここでの過ごし方に決まりは無い。ただひとつ求められるのが、スローガンである“傍観者になるな”なのだ。
Burning Man 2013
会期:2013年8月26日(月)〜9月2日(月)
会場:アメリカ・ネバダ州ブラック・ロック砂漠
https://www.burningman.com
Text: Isao Nishiyama
Photos: Isao Nishiyama