神戸ビエンナーレ 2013
HAPPENINGText: Chiaki Ogura
『世界のアートを日本で披露するのではなく、日本のコンテンツを世界に発信する未だかつてないビエンナーレ』。アーティスティックディレクターの大森正夫が、目を輝かせて語る「神戸ビエンナーレ2013」が始まっている。今年のテーマは「さく“saku”」。現代アートだけがアートなのではなく、神戸が発信しているもの自体がアートであり、幼い頃から生まれ育ってきた環境の中に元々存在している。そのことに気付き、震災の過去を乗り越え、新しくのびのびと文化創世をしてほしい、そんな願いがテーマの主題にこもっている。
メリケンパークから神戸港まで一帯が会場となっている
確かに独特だ。ジャンルはインスタレーションなどの現代アートに限らず、ペインティングアートや港の空間を活かしたデザイン展と規模の大きなものから、いけばなや書道・創作玩具まで幅広い。家族で楽しめる神戸の街全域を巻き込んで、見れる・触れる体験型アートイベントに仕上がった。
メリケンパーク会場にはコンテナ内外に72点の作品が並ぶ
企画展示部門であるメリケンパーク・神戸港エリアには、港を体感できる作品群が集まっている。輸送用のコンテナの内部を展示空間とする「アートインコンテナ国際展」は138作品のうち入選25作品が展示されている。40ftコンテナという限られた空間内には、海を意識したインスタレーションが多数見られた。
安蔵隆朝「Light flower of Two faces」
神戸ビエンナーレ大賞の安蔵隆朝の作品「ライト・フラワー・オブ・フェイシス」。“PUSH”ボタンを押すとストーリーが始まる。プロジェクターで映像が当てられ、生き物のように見える回転体。突然映像が消えてストロボが発光すると、隠れていた実態が現れる。大きな建造物に映像を映し出すプロジェクションマッピングではなく、あえて小さいものに焦点を当てたところが新鮮な作品だ。
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