第8回 文化庁メディア芸術祭

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

今年で8回目を迎え、優れた作品を広く紹介する文化庁メディア芸術祭が恵比寿にある東京都写真美術館で行われた。毎年国内外から寄せられた多くのメディア芸術〜メディアアートの作品の中から、選定された作品が展示・上映される。また、それらの作品郡が展示された会場は誰もが無料で観賞できるという、現在のメディア・アートを知る上ではとても参考になるイベント。

昨年同様、アート/エンターテイメント/アニメーションそして日本の文化として広く世界に認知されているマンガの四部門が設けられ、各部門から大賞・優秀賞などの賞を選定する。また、受賞者が参加するシンポジウムなども行われる。

取材当日は、休日ということもあり、沢山の人で会場は賑わっていたが、昨今のメディア・アートへの関心の高さが伺える。また、年齢層もお年寄りから子供まで幅広いもので、普段のこういった展示が行われるスペースでは余り見かけない光景ではあるだろう。また、この日はアート部門の受賞者によるシンポジウムも行われ、そちらの方へも足を運んでみた。

参加アーティストはアート部門大賞「3Minutes2」(このインスタレーションはヨーロッパ最大規模のメディア・アートの祭典、アルス・エレクトロニカでも賞を受賞している)のエレクトロニック・シャドウの二人と、同優秀賞に輝いた「GLOBAL BURNING」の新世代メディアアーティスト、平川紀道がシンポジウムに参加し、出展した作品のコンセプトや以前の作品の説明などを行った。

特に印象的であったのは平川紀道の言葉で、例えば宇宙から地球の姿などは実際に目で見た人が少ないにも関わらず現代社会では万人の共通認識として伴っているものであるが、そのような概念的なものをメディア・アートを通して実感の伴うものを作るということであった。


「グローバル・バーニング」平川紀道

そして、「グローバル・バーニング」は東京を視点としたジャイロスコープを取り付けたスティックを動かすことで、直線上に地球内部を通ってどの場所へ到達するのかを可視化した作品で、体験者に地球が球体で足元にある地面はどこかへ通ずるという、小学校の時に夢想していたものがスクリーンへと投影されるグリッド状の地球をスティックを動かし操作することで驚きとともに確認させてくれた。

シンポジウムの中で語っていたコンセプトを表した作品といえるだろう。そして、バーチャルリアリティという仮想現実ともう一つの現実、現実とは等価の現実というメディア・アートのなかで重要な要素の一つを占める事柄にも言及しているのではないだろうか。

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