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矢柳 剛

PEOPLEText: Ayako Ishii

クロスホテル札幌では、音楽、ファッション、アートをキーワードに、従来のデザインホテルとの一線を画すことを目的に「ART X(アートクロス)」と題したアート展示を行っています。今回の企画への参加を決められた経緯をお聞かせください。また、「POP UKI -色彩の魔術-」の展覧会にこめられた思いをお聞かせください。

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矢柳剛展「POP UKI – 色彩の魔術 -」, クロスホテル札幌 展示風景, 2011

昨年、中国北京798芸術区で行ったコシノジュンコ氏との共同制作「越境」の記事がシフトに掲載された経緯から、東京画廊経由で今回の個展の依頼を受けました。自分は道産子でもあるし、ホテルでの展示というユニークなオファーだったので受けました。

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矢柳剛展「POP UKI – 色彩の魔術 -」, クロスホテル札幌 展示風景, 2011

ホテルでの展覧会については、美術館やギャラリーでの企画が画一的になっている昨今、非常に面白い試みといえます。美術館やギャラリーでできないことがホテルでは可能です。そもそもアートとは、商店街とか空き店舗とか街の中、人々の中に入っていくべきなのです。札幌滞在中、地下歩行空間を見学しましたが、そういった不特定多数の出入りがある場所、面白い出会いの生み出される空間こそ、アートを発表するのに適しています。

今回の展示のタイトル「POP UKI」は、私がつくり出した造語ですが、「POP」は「ポップアート」、「UKI」は「浮世絵」を指します。ポップアートは英国で発祥し、米国で発展してきましたが、私は日本の浮世絵の伝統にこそ、そのルーツがあると考えます。日本の絵画史を代表する浮世絵と現代社会の証言としてのポップアートを踏まえ「POP UKI」が生み出されました。

副題については、「色彩の錬金術」にしようとも思ったのですが、マジック的要素が強すぎるため「色彩の魔術」としました。春だし、このご時世だし、明るい自分の作風は今回の展覧会に適していると思いました。また、実際にクロスホテル札幌での展示を見て、ホテルの雰囲気ともマッチしているし、受けて良かったと思っています。

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矢柳剛展「POP UKI – 色彩の魔術 -」, クロスホテル札幌 展示風景, 2011

本展覧会には16点の平面作品(油彩画、版画)に加え、立体作品「宇宙から来た女」を展示していますが、クロスホテル札幌のガラス張りのエントランスホールを生かして、360度から見て楽しんでもらうことができます。立体というメディアを選んだのは、浮世絵に端を発した版画やシルクスクリーンなどの2次元の追究に飽き足らず、3次元に挑むことで前からの矢柳、後ろからの矢柳を表現したいとの思いからです。

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